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2023/11/03

エンジニアがPCを買うならMacとWindowsどちらがいい?

ITエンジニアにとって、PCは最も重要なツールの一つです。MacとWindows、どちらかしか触ったことのない方も多いかもしれませんが、適切なマシンを選ぶことで作業効率やパフォーマンスが大きく変わっていきます。
「MacとWindowsのどちらを選ぶか?」といった記事は多々ありますが、この記事では少し視点を変えて、各々の歴史から特性や得意分野について紐解いていきますので、どちらがあなたに向いているのか一緒に検討していきましょう。
興味がない方は飛ばして最後の結論を読んでいただいても構いませんが、ITエンジニアの基礎教養として知っておくべき知識も盛り込んでいますので、目を通しておいて損はありません。歴史を知ることはMacとWindows、どちらを選ぶかの大きな判断材料になるでしょう。

Macの特徴

 

では最初にMacの歴史を振り返りながら特徴をみていきましょう。

誰もが簡単に使える美しい製品。優れたグラフィカルユーザインターフェース

Appleの共同創設者としてMacintosh (後のMac) の誕生に深く関与していたスティーブ・ジョブズのビジョンは、コンピュータを単なるツールから誰もが簡単に使える美しい製品へと変貌させることでした。
1984年に登場した最初のMacintoshは革命的なグラフィカルユーザインターフェースを持つPCとして市場に衝撃を与え、以降、創業時からのデザインの美学がクリエイティブな人々を惹きつける魅力となり、現在でもクリエイティブな分野でのMac使用率の高さにつながっています。

一体化したハードウェアとソフトウェア

Appleはその成立の初期から、独自のハードウェアとソフトウェアを一貫して自社設計してきました。これにより、製品間の統合性が極めて高まり、ユーザーに独特の体験を提供しています。特に、Mac専用のFinal Cut ProやLogic Proのようなプロフェッショナルなクリエイティブソフトウェアがこの統合的な環境の中で生まれ、この絶妙な調和はクリエイターたちにとって大きな魅力となっています。

CPUの変遷でわかるパワーと効率の追求

MacのCPUは、時代とともにさまざまな変遷を遂げてきました。互換性などかなぐり捨てて常にパワーと効率を追求する姿勢こそがAppleらしさと言えるかもしれません。
以下、MacがたどってきたCPUの歴史をみていきましょう。

<Motorola 68k>
最初のMacintoshはMotorola 68000シリーズのCPUを採用していました。

<PowerPC>
1990年代、AppleはIBMとMotorolaとの連携のもと、PowerPCアーキテクチャを採用しました。このアーキテクチャは、Macの性能を大幅に向上させることに。

<Intel>
2005年に、AppleはPowerPCからIntelのx86アーキテクチャへの移行を発表。これにより、Macは更なる高速化と効率化を実現しました。

<Apple Silicon (M1, M2など)>
2020年、Appleは独自のARMベースのチップ「Apple Silicon」を発表。これはMacの性能と効率を次のレベルへと引き上げるものとなりました。

Unix採用による安定性と柔軟性の獲得

2001年のMac OS Xの登場とともに、AppleはUnixベースのオペレーティングシステムを採用しました。これにより、Macは非常に高い安定性とセキュリティを手に入れるとともに、開発者やエンジニアにとっても多彩なハードウェアに対応可能な柔軟性を持つ非常に魅力的なプラットフォームとなりました。Terminalを使ってのコマンドライン操作は、Unixの強力な機能をMacユーザーにも提供します。

データの共有や操作の一貫性を実現するエコシステム

近年はMacだけでなく、iPhoneやiPad、Apple Watchといったデバイスが相互に連携し、データの共有や操作の一貫性を実現しています。たとえば、HandoffやUniversal Clipboard、Sidecarなどの機能はデバイス間での作業のシームレスな移行を可能にしており、これがAppleの強力なエコシステムを形成しています。

大雑把ですが、以上がMacの誕生から現在までの歴史です。
Macはティーブ・ジョブズのビジョンから始まり、技術的な変遷やUnixの採用を経て、現在の多様な得意分野を築き上げました。これは、Appleがユーザーエクスペリエンスを常に中心に置き、最先端の技術を採用する姿勢の結果であり、その歴史と進化を見ることでMacが持つ真の価値を理解することができます

Windowsの特徴

同様に、Windowsについても歴史を振り返りながら特徴をみていきましょう。

歴史に残るWindows 95のリリース。日本のインターネットはここから始まった!

ビル・ゲイツとポール・アレンが1975年にマイクロソフトを設立。その際のビジョンは、”a computer on every desk and in every home”(すべての机と家に1台のコンピュータ)でした。事実、Windowsによって、このビジョンは現実となりました。
その一番わかりすい例は1995年のWindows 95のリリースではないでしょうか。
このOSはスタートメニューを導入するなど、GUIの大幅な進化をもたらしたうえ、WebブラウザのInternet Explorerとともにインターネットへのアクセスが一般的になるきっかけに。これは、情報技術と通信の統合、すなわちインターネット革命の始まりでした。

DirectXの導入で進化したゲームとマルチメディア

DirectXは、1990年代中頃からWindowsのマルチメディアとゲーム開発のためのAPI集合として導入されました。これにより、ゲーム開発者はWindows上で高性能なグラフィックスやサウンドを簡単に実装できるようになりました。DirectXの進化とともに、PCゲームのクオリティは飛躍的に向上し、Windowsはゲームプラットフォームとしての位置を確立しました。

WSLで実現するWindows上でのLinux環境

2017年に公開されたWSL(Windows Subsystem for Linux)は、Windows上でLinuxの環境を実行することを可能にする機能であり、開発者やIT専門家にとって大きな意義を持っています。これにより、Windowsユーザーは、Linux特有のツールやアプリケーションを直接利用できるようになりました。
マイクロソフトがオープンソースコミュニティとの連携を強化する中で、WSLはその象徴的な存在となっています。

古いアプリでも動く!業務システムの王者

Windowsの大きな特徴は、後方互換性の高さです。10年以上前のアプリケーションでさえ、新しい環境で簡単に動作します。つまり、企業にとってみれば長い期間にわたり投資したアプリケーションを引き続き利用できることになりますから、過渡期のコストやリスクを軽減できる大きなメリットがあるわけです。一方、Macはこの点での後方互換性が極端に低く、アップグレードやOSの移行が必要な場面が増える傾向にあります。

こちらも大雑把ですが、Windowsの誕生から現在までの歴史および特徴です。
ビル・ゲイツの初期のビジョンから始まり、多くの変遷を経て、ビジネスからエンターテインメント、開発までの多様な分野での使用が確立されています。その適応力と後方互換性、そしてオープンソースへの取り組みは高く評価され、Windowsは今後もIT業界において主要な役割を果たし続けるでしょう

MacとWindows  選択の指針

MacとWindows、それぞれの歴史や特徴を考慮することでどちらを選ぶかを決めるのも一つの方法です。過去を知ることで、将来が予測できるからです。おそらく私たちが現役世代でいる間は両者の性質は変わらないでしょうから、

・常に革新を求め、最先端の技術とデザインを追求し続ける姿勢と、その独特のエコシステムに魅力を感じた方はMac

・堅実な性能と幅広い対応ソフトウェアによる汎用性に魅力を感じた方はWindows

を選ぶと良いでしょう。

OS選びは職種や専門性も考慮を!

さらに、皆さんの職種や専門性に応じても選択のポイントは変わります。

クリエイティブ系職種・WebエンジニアはMacがおすすめ

たとえば、もしあなたがクリエイティブな職種(CGアーティスト、サウンドエンジニアなど)であるか、またはそれを目指して勉強中であればMacが最適でしょう。一部のプロ仕様のツールやソフトウェア(Logic Pro、Final Cut Proなど)はMac専用のものがあるからです。iOSアプリの開発に興味がある場合もMac一択となります。iOSアプリのビルドはMac上でしかできないためです。

そして、WebシステムのエンジニアもMacを選ぶことをおすすめします。実際、WebシステムエンジニアはMacユーザーの比率が高いようです。Homebrewなどのパッケージマネージャーが利用でき、Web特有の面倒な環境構築がコマンド一つで簡単に作成できるのと、WebシステムはLinuxなどUnixベースのサーバー上で動かすことが多いので、同じUnixベースのOSのMacで開発を行うことでシームレスな移行が可能です。

業務系ソフトウェア開発ならWindows一択

業務系ソフトウェアの開発を手がけるエンジニアにとっては、残念ながらWindowsしか選択肢はありません帳票ツールやDBツールなど業務系ミドルウェアの多くがWindows専用となっており、Macでは事実上開発できません。.NETフレームワーク(C#、VB.NET)を基盤とした開発や、MicrosoftのクラウドサービスであるAzureの導入、Windows Serverとのシームレスな連携やActive Directoryを活用したシステム開発においても、Windowsの利用は最適と断言できます。また、ゲーム用のPCとしても利用する場合も、Windowsを選択せざるを得ない状況です。多くのPCゲームタイトルがWindowsプラットフォームに特化しており、Mac向けのゲームはまだまだ少ないのが現状です。

まとめ

自分に向いているマシンがMacかWindowsか何となく見えてきましたでしょうか。
プロのITエンジニアは一般ユーザーとは異なり、自らのツール選択が働き手としてのスタイル、思考パターン、そして専門知識を映し出します。得意とする開発領域や使用するプログラム言語は、まさに私たちのアイデンティティそのものといっても過言ではありません。つまり、私たちが何者であるのか、どのような価値観を抱いているのかを具現化する要素となるのです。
MacかWindowsかの選択も、エンジニアのアイデンティティや価値観の一環となりますので、明確な意思をもって選択をしていきたいですね。
もちろん、どちらかではなく、両方のマシンに慣れ親しむこともITエンジニアとしての幅広いスキルセットを持つうえで非常に有利です。予算が許すのであれば、両方の環境を揃えて経験を積むことをおすすめします。