エンジニア3年目で『仕事ができない』と感じたら?壁の乗り越え方と転職の考え方
2023/11/24
案件選択制SESの実態|後悔しないための正しい見極め方

Last Updated on 2025年8月26日 by idh-recruit
最近増えてきている案件選択制のSES。「自分で案件を選べる」とされる仕組みですが、多くの中小SESでは案件数が少なく、実際には自由に選べないケースが目立ちます。また営業が案件を絞って紹介するなど、実態が伴わない“形だけの案件選択制”も散見されます。
一方で、案件情報の透明性が高く、エンジニア主導で応募できる体制を整えている“本当に選べるSES企業”も存在します。
本記事では、案件選択制SESの実態やメリット・デメリットを整理し、後悔しないためのチェックポイントや、本当にホワイトなSESを見極める方法を現役エンジニア目線で解説します。
【この記事を書いた人】
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情報系工学部の大学を卒業後からIT業界で仕事を続けている経歴10年以上のエンジニア。
案件自由選択制SESという様々な経験と幅広いスキルを追及できる働き方と、お客様とHappy-Happyの関係を築きたいという理念に共感してIDHに転職。
これまでWeb系エンジニアとしてフロントエンドからサーバーサイドまでJava、Ruby、Pythonを中心に設計、プログラミング、テストまで幅広く担当し、通信インフラ、広告配信、人材派遣業、金融、ECサービス、IoTなど数多くのプロジェクトを経験。
Contents
SESにおける案件選択制度とは~「案件ガチャ」の不安を解消できる?
SESとして働きたい、もしくはすでに働いている方なら一番気になることは「案件が自分にマッチしているかどうか」ではないでしょうか。本セクションでは、SES業界でよく耳にする“案件ガチャ”の実情や当たり外れについて解説していきます。
いわゆる“案件ガチャ”って何?
SESのエンジニアとして働く際に気がかりなのは、いわゆる“案件ガチャ”によって当たりとハズレが発生し、参画した案件によってはエンジニアが苦しむことになる点です。
この“案件ガチャ”とはエンジニアに案件の選択権がなく、希望に合った案件かそうでないかは会社のアサイン次第となることを指します。レバーを回した後でなければ中身がわからない「ガチャガチャ」に例えられるので“案件ガチャ”と呼ばれるようになりました。
ですからエンジニアが希望しない案件、またはできれば避けたい案件にアサインされると、それは「案件ガチャに失敗した」となるわけです。
ハズレ案件とは具体的にどのような案件なのか?
しかし、“エンジニアが希望する案件”というのは個々のスキルや優先事項によって異なります。たとえば以下の案件は当たり案件でしょうか。それともハズレ案件でしょうか。
- 上流工程を担当できる案件
- 最先端の技術を取り扱っている案件
- 定時で退社できる案件
- 通勤が不要のフルリモートの案件
- 単価が高いPM・PL職の案件
答えは、エンジニアによって当たり案件にもなるしハズレ案件にもなる、です。
一概にどの案件なら良い・悪いとは言えません。
上流工程の要件定義や設計に関わりたい人がいる一方、製造工程でプログラミングのみを担当したい人もいるでしょう。最先端で誰も経験したことがないような未知の技術に関わりたい人がいれば、今まで経験したことのある技術を活用した開発や保守作業に専念したい人もいます。プライベートを重視して定時退社したい人がいれば、仕事を重視して定時以降もバリバリ働きたい人だっています。
まったく同じ案件でもエンジニアによっては希望が異なるので、当たり案件にもなるし、ハズレ案件にもなり得る……。
つまりハズレ案件とは、「個々のエンジニアの希望・事情に沿わない案件」のことを指し、特定の業務内容や企業、業界の案件のことではありません。
案件ガチャを回避する「案件選択制」とは
近年のSES業界では、このような個々のエンジニアの希望・事情に沿わないハズレ案件を案件ガチャで引いてしまわないようにするための解決策として、案件選択制を導入する企業が増えています。
案件選択制とは、エンジニア個人のスキルや経験とマッチした案件を、エンジニア自身が選べる制度のこと。この案件選択制ならエンジニア自身の希望・状況に合わせた案件選択ができるので、自身のキャリアプランに合わないハズレ案件を回避できるようになります。
「名ばかりの案件選択制SES」だと、思ったように選べない
ところが案件選択制SESに入社したにもかかわらず、結局思ったように選べない「自称・案件選択制SES」で後悔するエンジニアが後を絶たちません。
では、入社して後悔する「自称・案件選択制SES」にはどのような特徴があるのでしょうか。
答えは簡単、「選べるほど案件がない」です。
このようなSESはエンジニアを募集する段階では案件が選べると謳うのですが、蓋を開けてみるとそもそも選べるほどの案件数を保有していないのです。これを入社するまで知らなかったエンジニアは結局、会社都合でアサインされる形になってしまいます。
案件選択制といっても、複数ある案件の中から自分が希望する案件がなければ、結局選べないことと同じ。つまり“案件ガチャ”となるでしょう。
プログラミングのスキルを高めるために製造工程に参画したかったのに、紹介された案件がテスト仕様書の作成やテストの工程しか担当できない案件、最先端の技術を経験したいのに陳腐化した技術しか取り扱えない案件など……エンジニアの希望に叶う案件がなければ会社のアサインに従うか、人によっては退職を検討するしかありません。
「名ばかりの案件選択制SES」を回避するためのチェックポイント
SESエンジニアにとって、参画するプロジェクトはキャリア形成の基礎となる重要な要素。
うっかり「実は選べない自称・案件選択制SES」に入社して後悔しないよう、回避するためのチェックポイントを確認しておきましょう。
アサインまでにどんなフローがあるか
エンジニアがプロジェクトに参画するまでの間、どのようなフローがあるのか事前に確認しましょう。
優良な案件選択制SES(案件を選べるSES)のフローは以下の通りです。
- スキルシートを作成して担当営業に提出する
- 希望する案件の条件を担当営業に伝える
- 担当営業から希望する条件にマッチした案件の紹介を受ける
- 参画したい案件を選択して担当営業に伝える
- スキルシートに問題がなければお客様の面談を受ける
- 面談に問題がなければお客様から参画のオファーを受ける
- エンジニア本人の承諾によって参画が決定する
実際には案件を選べない「名ばかりの案件選択制SES」の場合、エンジニアに選択権がないフローになっていることがあるので注意しましょう。
たとえば、エンジニアから希望する案件を伝える機会がないにもかかわらず営業主導で勝手に応募する案件を選定されたり、面談後にオファーを受けた後でエンジニアの承諾・最終検討の余地を与えず自動的に参画となってしまったりするケースがあります。
エンジニアの希望をしっかりヒアリングしてくれるか
案件選択制SESのフローとして、スキルシートを作成して営業に提出するステップがあります。「名ばかりの案件選択制SES」の中にはエンジニアの希望を聞かず、提出したスキルシートを基に希望案件を勝手に憶測で選定してエンジニアに紹介してしまうということがあります。
ですが、スキルシートに書いている内容がそのエンジニアの希望条件を表しているとは限りません。
スキルシートは具体的なスキルの共有であって、今までJava言語のWebエンジニアだった人でも、Pythonの案件に新規参画して新しいスキルを身に付けたい人もいれば、今までプログラミングで開発してきた人が単価の高いPLやPMの管理職に挑戦してみたいという人もいます。
また、将来のキャリアプランを考えた案件を選択したいという人もいます。
スキルシートだけで機械的に判断するのではなく、エンジニアの希望をしっかりとヒアリングしてくれるかどうかは確認するようにしましょう。
案件数がどれだけあるか
案件数が多ければ多いほど選べる選択肢が増えるため、案件数が多い方がいいに決まっています。案件数が多いと希望する条件+αの条件が期待できるからです。
たとえば、「Java言語の希望で単価○○円以上、リモート勤務」といった場合でも保有している案件数が多ければ、これらすべての希望を満たす案件とマッチできる可能性が高くなるでしょう。
また、「実は選べない自称・案件選択制SES」では、先輩社員が常駐しているお得意様の案件しか紹介しない、エンジニアの希望を無視して単価や参画人数など会社都合でアサインしたいゆえに案件数を少なく提示していることがあるので注意が必要です。
紹介された案件の詳細な説明があるか
通常、SESでは営業担当から紹介された案件がどのような案件であるかをエンジニア自身が理解したうえで面談へ進むことになります。
案件について詳しい説明がなかった場合、自分の希望に合うのか判断できなくなってしまいますし、自分の求められているスキルや役割が分からないまま面談に臨んでしまった場合は見当違いな受け答えをして参画にたどり着くことが難しい状況になってしまいます。
紹介された案件の業務内容、開発環境、必要期間、雇用期間など、営業担当が知っている情報を詳しく説明してもらえるか確認するようにしましょう。
なお、「形だけの案件選択制SES」ではエンジニアに選択の余地を与えずアサインするために、案件の説明を曖昧にすることがあるので注意してください。
自由に選べる!ホワイトな「案件選択制SES」を選ぶポイント
エンジニアとしての長年の経験から、「本当に良いホワイトな案件選択制SES」には次のような特徴があります。これからSESへの転職を希望している方はぜひ参考にしてください。
NG案件を聞いてくれる
こちらのNG案件を聞いてもらえるSESでは、絶対に参画したくない案件を最初からしっかりはじいてくれます。
NG案件は人それぞれ異なりますが、例として以下のような案件が考えられるでしょう。
- 一応経験とスキルはあるがどちらかというと苦手な方なので〇〇言語はNG
- 新しい業務に挑戦したいので〇〇業務はNG
- プライベートを重視したいので残業が多い現場はNG
NG案件を聞いてもらえれば、案件紹介の段階で絶対に参画したくない案件を取捨選択する手間も省けます。
最終的にはエンジニア本人に決定権がある
エンジニアにしっかりヒアリングしてくれたうえで、面談承諾後に本人の意思で辞退できところも良いSESと言えるでしょう。
何でもかんでも辞退するのは良くありませんが、面談承諾後にエンジニアの意思を確認しないで勝手に参画が決まってしまうのは、会社都合の考え方であってエンジニアのことを大切に思ってくれる企業とは言えません。
参画後でも辞退(撤退)できる
参画までのフローで説明した通り、面談で企業様からオファーを受けた後、本人がそのオファーを承諾すれば参画決定です。「これでひとまず安心」と言いたいところですが、参画してみたら面談で聞いていたことと違っていたり、本人と現場のスキルで乖離があって業務が辛かったり、人間関係が劣悪で常駐先でパワハラを受けたりなど、案件に参画してから初めて分かる“キツイ現場”も存在します。
こんなときに、担当営業に相談できる機会があり、状況によっては参画後でも辞退(撤退)できるSESは良心的です。
色々と辛い現場で働き続けても心身が疲弊するだけなので、参画後でも辞退できるかどうかについては事前に確認しておきましょう。
参画後も定期的にサポートしてくれる
案件選択制のSESであっても、エンジニアに関心のないSESは、とりあえず現場に人材を入れてしまえば良いというスタンスのことも。参画後のサポートが乏しい傾向にあります。
反対に、参画後も定期的に話を共有する機会を作ってくれて、現場で困っていることや契約延長の可否、将来のキャリアプランなどの話をじっくり聞いてくれるSESは優良、ホワイトなSESと言えるでしょう。
まとめ~SESで働くならしっかり案件を選べるSESへ!~
IT業界で案件ガチャの当たりハズレの話はよく聞く話ですが、エンジニアが主体となって希望する案件を選ぶことができれば、ハズレ案件を引くような事態は回避できるはずです。
SESへの転職を検討している方、今現在選べないSESで苦労している方、そして「名ばかりの案件選択制SES」からの撤退を検討している方は、今回ご紹介したポイントを参考に、次の活躍の場を選んでみてはいかがでしょうか。
編集部より
以上が、現役エンジニアの目線から見た案件選択制SESの実情でした。
案件選択制SESは、エンジニアが主体的にキャリアを選べる大きなメリットがある一方で、人気案件の競争率やタイミングによっては希望が通らなかったり、自分でしっかりキャリアを考えておかないといけないというデメリットもあります。
だからこそ、制度そのもののメリット・デメリットを理解した上で「どの会社なら本当に選べる環境を用意しているか」を見極めることが大切です。
たとえば、当社では実際に以下のような取り組みを行っています。
・目指したい収入や働き方、磨きたいスキルなどヒアリングします
・会社都合での強制アサインはありません
・参画後も定期的なフォローアップ
実際に複数案件から選択した社員のインタビューで、具体的な体験談をぜひ参考にしてみてください。
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