「SESは誰でも受かる」は本当か?SESの就職難易度やホワイトSESへの就職対策についても解説!
2023/10/19
PMになるには?方法や向いている人の特徴、必要なスキルを元PM社長が解説
プロジェクトマネージャー(以下、PM)は、IT業界でコンサルに続く花形の職業というのが、なんとなく世間一般的なようです。私もIT企業の経営者として中途採用の面接や社員のキャリア相談のときに「将来はPMもやりたい」とよく言われます。(逆に「やりたくない」という声もよく聞きますが)
確かにPMは視座が高く、なんかカッコイイですよね。憧れるのも分かります。
そこで今回は「PM(プロジェクトマネージャー)になるには?」と題して、PMに求められる資質(向いている人の特徴)と必要なスキル、PMになる方法をIT企業の経営者視点でお伝えしたいと思います。
こちらのブログでは以前、「【現役エンジニアが解説】PMをやりたくないエンジニアが多い理由と向いている人の特徴」という記事を公開していますので、ぜひそちらも併せてお読みください。
【この記事を書いた人】
<伊藤貞治(株式会社アイ・ディ・エイチ代表取締役社長)>
1978年生まれ。大トロのようにくどいぐらい油の乗った45歳(2023年時点)。
25歳でこのIT業界に営業職で就職。3年ほど営業職を経験後、「売れるためには技術力が必要」と思いエンジニアにキャリアチェンジ。32歳でプロジェクトマネージャーとなり、以降7年間で担当したプロジェクト数は50件以上。
PMP合格、資格取得者(現在は失効)。直近5年間で1万人以上のエンジニアの選考と面接しているエンジニア出身経営者。
そもそもPM(プロジェクトマネージャー)とは?
PM(プロジェクトマネージャー)は端的に言うと、QCD(品質・コスト・納期)を守る仕事です。
プロジェクトというのは有期であるため期限があり、また要件に従った品質があり、そして予算がありますが、それらすべてを達成するのがPMの仕事です。つまり、QCDを守るために計画、実行、改善し、問題発生時には各ステークホルダーと調整するのが業務内容となるわけですが、
具体的には……
・どのフェーズでどういった要員が必要か
・品質を確保するために、どういった手法での設計や製造やテストが必要か
・計画に問題が発生した時のリカバリプランはどうする
・問題の発生を防ぎ、または問題発生時に迅速に対応するためには、どのように管理していくか
といったことを考えてプロジェクトを進めていくのがPMです。
私が面接する際、求職者の方にPMとして何をしていたかを尋ねると、ほとんどの方が進捗管理や品質管理、要員管理しかしておらず、品質計画や要員計画、予算、納期などについて尋ねると、その点は「何もしていない」と回答されます。
しかし、前述のようにPMはQCD(品質・コスト・納期)を守る仕事ですから、品質計画、要員計画、予算と納期の管理までやるのが本筋。PMが担う職域は多くの人が思っているよりもっと広いのです。
管理だけではなく、計画を立案・実行するのがPMだということを、ぜひ覚えておいてください。
PMに向いている人の特徴とは?~PMに求められる資質~
プロジェクトの総責任者であるPMですが、誰でもある程度経験を積めばなれるものではないと考えています。
PMの経験を踏まえた個人的見解からすれば、PMにはそれに見合うだけの資質(向いている人の特徴)が要求される――。
これは良い悪いではなく、皆さんがIT業界で働いているのは「肉体労働が合っていないから」「プログラミングが好きだから」「モノ作りが好きだから」などさまざまな理由があり、自分に合った職業を選んだ結果IT業界にいるのと同じように、PMにも「向き不向き」「得手不得手」があります。ですからPMになれなくても悪いことではないですし、PMに進まない選択肢も私は素晴らしいと思っています。
ただ、将来のキャリアプランとしてPMを意識するのであれば、この“資質”も頭の片隅に置いてほしいのです。
では、その“資質”とはどのようなものなのか。これから詳しく解説していきましょう。
ストレスにならない、強い
PMは本当にストレスの多い仕事です。どれだけストレスが多いかはこの後に説明しますが、つらいと思うのであればPMは合っていません。精神衛生のためにもやめておいた方が良いでしょう。
丁稚奉公が苦にならない
PMは、実は丁稚奉公が大半の仕事です。各ステークホルダーやエンジニアに気を配りつつ細かい立ち居振る舞いが必要であり、フットワークが重い人は向いていません。どや顔で働くのではなく、どれだけ周りをサポートできるかが重要です。丁稚奉公に喜びを感じるぐらいの方が良いと思います。
残業が苦にならない
丁稚奉公の続きにもなりますが、PMは日中帯に自分の仕事ができるのは稀で、基本的に残業ありきの職種だと思った方が良いです。また、夜は接待や飲み会などもプロジェクトを進めるうえで重要なファクターになります。「PMになりたいけど残業はしたくない」という人がときどきいますが、残業しないで済むのはよほど余裕のあるプロジェクトか、相当なマネジメント手腕を持っていない限りは無理です。
PMに必要なスキル~努力次第でなんとかなる~
次にPMに必要なスキルを説明します。資質と違い、スキルは誰でも身に付けられるはずです。
技術力
「PMだから技術的な細かい事は知らなくても良い」なんて思っていたら大間違いです。その開発でどのようなアーキテクチャーを使うかを理解していないと、そもそも開発したいものとアーキテクチャーが合っておらず、不格好なシステムになったり、メンテナンス性が悪くなったり、予想以上に工数がかかったりします。
また、製造工程で機能が実現できないなどのトラブルも発生します。エンジニアの相談にも乗れませんし、品質計画も作れません。つまり、技術力のないPMでは、どこかで必ず落とし穴が出来てしまうのです。
よく、大手SIerや情シスでは、エンジニアというポジションを経ずにPMに抜擢される人がいますが、本当に可哀相になってきます。技術力のないPMは、信頼の高いエンジニアがいないとプロジェクトが炎上するか、上記に書いたとおり、とんでもシステムを作ってしまうからです。
コミュニケーションスキル
大雑把にコミュニケーションスキルと書きましたが、調整力であったり、話し上手であったり、政治力であったり、すべてのものをまとめてコミュニケーションスキルとしました。これはPMに限らず、マネジメントと呼ばれるすべての職種で必要かもしれません。
たとえば、プロジェクトに遅延が発生した場合はステークホルダーにリカバリプランを提示して、承認を得なければならないため、ステークホルダーの社内の利害関係を把握し、政治的な動きを取ることも必要です。また、そのために常日頃からステークホルダーと良好な関係を築いていく必要もあります。ただ「会話ができる」「説明ができる」といったコミュニケーションスキルではなく、物事を推し進め、人を動かせるコミュニケーションスキルが求められるのです。気の乗らない飲み会に参加する羽目になったり、くだらない社内政治に巻き込まれたりすることもありますし、逆にQCDのために意図的に社内政治に巻き込んだりすることもあります。
PMであればこうしたことをストレスなくこなせるコミュニケーションスキルが必要なのですが、これがないPMはよくプロジェクトを炎上させてしまい、最終的には第三者が火消しすることが多いです。
柔軟性
PMには柔軟性が求められます。プロジェクトの規模や内容、要員のスキルや習熟度に沿って、QCDの肝を見極め、必要最低限の管理で済むような柔軟性が必要なのです。
にもかかわらず、現場には教科書通りにプロジェクトを進めようとするPMがよくいます。きっちりプロジェクト計画を作り、品質計画、要員計画……と細かく書いて、管理資料はこれを使って、メンバーにはこの資料を毎日何時までに提出させて……と。しかし、プロジェクトマネジメントで使うテンプレートはプロジェクトの規模や内容によっては無駄なものが多く、それらをすべて使おうとすると、エンジニアにプロジェクトを管理するための時間を多く使わせることになり、予想以上の工数がかかってしまいます。
また、管理することに自己満足し、重要な点を見落とすことも多く(管理しているんだから間違いはないと思い込んでしまう)、現場をシラケさせるのです。
こうした柔軟性がないPMのプロジェクトは、エンジニアが死んだ目をしています。
人間力
ものすごく、抽象的なスキルを挙げてしまって申し訳ありません。ただ、システム開発は“人”が作るもので、ロボットが作っているわけではありません。「私がPMだから、私の言うことを聞きなさい」なんて言っても誰もついてきませんし、トラブルが発生しても誰も助けてくれません。プロジェクトを進めるうえでやはり重要なのは、すべてのステークホルダー一人ひとりと良好な関係・信頼関係を築くことです。PMという肩書を使うのは“伝家の宝刀”ととらえ、万が一のときのために取っておけるぐらいの人間力が必要だと思います。
心理的に、人が権威や権限を盲信するのは余程不安定な精神状態のときだけなので(つまり詐欺師が使うやり方)、人間力で信頼関係を築かなければなりません。
PMになるにはどうすればいいのか?
以上、PMに求められる資質や必要なスキルについて説明してきましたが、信じるか信じないかは皆さんにお任せします。
最後にPMになる方法について説明したいと思います。
気付いた人もいると思いますが、実は今まで説明したスキルがあれば、自然にPMに任命されてしまうのです。
はい、実はそうなのです。嘘じゃありません。
周りのPMを見ると、今回説明したスキルのどれかがものすごく長けていることはありませんか?(一部の人は会社の恣意的なものがあるかもしれませんが)
また、皆さんの周りでも、SEやPGから急にマネジメントを任されている人を見たことはありませんか?こうした人は常日頃の働き方から「期待されて」PMに抜擢されているのです。SEやPGでも勉強をして技術力を磨くことは出来ますし、顧客やメンバーとのコミュニケーションの仕方や、仕事への柔軟性、人間性は見て取れますから、それらが総合的に判断された結果、PMに任命されるのです。逆に言うと、PMに任命されない人は今まで説明した資質やスキルの中で足りてないものがあるはずなので、それを補えば必然的にPMになれるというわけです。
したがって、「なぜPMを任せてもらえないのか」と不満なのであれば、それを環境のせいにするのではなく、一度自分自身のスキルを見つめ直すことをおすすめします。
最後に~PMは資質・スキル・意志が備わってはじめて成立する職種~
繰り返しになりますが、PMはそれなりの資質やスキルが要求されるので、誰でもなれる職種ではありません。それなのに、「歳も歳だから」と会社からPMになるのを強要されたりするのは間違っていると思います。
各々が持ち合わせている資質やスキルを見定め、意志を持ってキャリアの方向性を決められることが大切なのではないでしょうか。
新着ブログ
エンジニアが転職して後悔するパターンと転職で失敗しないための対策とは?
フロントエンドエンジニアもAWSを習得するべき理由とおすすめサービスについて
AWSとは何なのか?サービス概要とできること、導入事例などの基礎知識を現役エンジニアがわかりやすく解説
NFTとは何なのか?将来性やNFTエンジニアに必要なプログラミング言語・スキルも解説
現役エンジニアが「稼げるプログラミング言語」をランキング形式で紹介!新しい言語を学ぶ際の注意点も解説
炎上プロジェクトが発生する原因と特徴、上手く逃げる<撤退する>方法を現役エンジニアが解説
【SES営業】現役コーディネーターに転職した理由や向いている人の特徴、やりがい、気になる年収についても聞いてみた!
【エンジニアの職位・PLとは?】PLの仕事内容や役割、PMとの違い、チームをマネージメントするコツを解説