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2025/11/17

ITエンジニアに営業力は必要?売り込みではない価値化スキルを解説

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Last Updated on 2025年11月17日 by idh-recruit

「営業力が必要」と聞くと、多くのエンジニアは一歩引いてしまいます。
明るくて、押しが強くて、トーク上手。
そんな営業マン像を思い浮かべて、「自分には無理」「だからエンジニアになったのに」と感じる人も少なくありません。

しかし、その認識は大きな誤解です。

エンジニアに求められている営業力とは、
ものを売り込むための話術ではなく、技術を価値として伝え、納得してもらうためのスキル。
言い換えれば、技術をビジネスの言葉に翻訳する力です。

この力を持つエンジニアは、プロジェクトの上流に関わり、無理な要求を跳ね返し、
クライアントから「次もお願いしたい」と言われる存在になります。
フリーランスにとっては案件獲得力そのものとなり、
社内エンジニアにとっては評価や役割の広がりにつながります。

本記事では、あなたが今まで誤解していた「営業力」の正体を分解し、エンジニアだからこそ発揮できる営業的成果を出す力を解説します。まずは、「営業なんて無理」という思い込みを生む3つの誤解から整理していきましょう。

多くのITエンジニアが誤解している営業力の正体

多くのエンジニアが「営業力が必要」と聞いたとき、真っ先に思い浮かべるのは、

セールストークが得意で、初対面でもハキハキと喋れる営業マン像かもしれません。だからこそ「自分には向いていない」と感じてしまうのは自然なこと。
しかし、この認識こそが最初のつまずきポイントになりがちです。

実際、エンジニアに求められている営業力とは、
決して「押し売りのうまさ」でも「トークのキレ」でもありません。

むしろ、そうした典型的な営業スキルは 本質的ではありません。
エンジニアに必要とされる営業力は、もっと技術者らしい性質を持っています。

誤解①:営業力=話し上手・社交性

「コミュ力が高い=営業ができる」というイメージは根強いですが、
エンジニアの現場では、むしろその逆の要素が重視されます。

技術的な課題は複雑で、曖昧な言い回しでは正しく伝わりにくいからです。
必要なのは、明るさよりも 正確さ・論理性・要点整理
そのため「口数は多くないけれど、成果を出すエンジニア」は珍しくありません。

誤解②:営業力=モノを売る力

営業という言葉から商品を売る仕事を想像しがちですが、
エンジニアが向き合うのは課題・仕様・要件・納期・優先順位 といったプロジェクトの本質部分です。

そこで求められるのは相手の状況を把握し、技術でどう解決できるかを示す「提案力」
売り込みとはまったく性質が異なります。

誤解③:営業力は性格で決まる

「営業は向き不向きがある」「内向的だと難しい」
と感じる人もいますが、性格は必ずしも決定要因ではありません。

むしろ必要なのは、
丁寧に聞くこと・正確に伝えること・合意をつくること
これらはエンジニアが日常的に行っている

  • 課題分解
  • ロジック構築
  • 技術の理解
    と非常に近い性質を持っています。

誤解の背景

文法と構文という明確な規則で成り立つプログラミング言語を扱うエンジニアにとって、営業力はどこかつかみどころのない、抽象的で属人的なスキルに見えてしまうのも無理はありません。

だからこそ、ここで一度 営業力の正体 を言語化しておきましょう。

次のセクションでは、その営業力の正体をさらに具体的に掘り下げていきます。

エンジニアの営業力は『技術を価値に変えて、相手を動かす力』

「営業力」とは、商品の魅力を巧みに伝え、相手を口説き落とす力……だと思いがちです。

しかしエンジニアに求められるのは、そのイメージとはまったく別物。
むしろ、次のような場面で自然と発揮されるエンジニアならではのスキルを指します。

  • クライアントの課題を、技術目線で正しく整理する
  • その課題に対して「技術×現実的な選択肢」を提案する
  • 予算・スケジュール・仕様の落としどころを一緒に探す
  • 期待値をすり合わせ、安心して任せてもらえる関係をつくる

技術そのものを売るのではなく、技術によって問題がどう解決されるのかを言語化する力=身につけたい営業力と言えます。

必要なのは、派手なトークではなく、

  • 必要な情報を整理して伝える力
  • 選択肢を比較し、理由を添えて示す力
  • 相手の懸念を汲み取り、安心材料を提示する力

これらすべて、実は多くのエンジニアが日常的に実践していることです。
あなたが普段から培っているロジカルさと誠実さこそ、クライアントに価値を届ける「営業力」そのものなのです。

🔎 データで見ても「相手に伝える力」は重要視されている

レバテックが2024年11月22日〜29日に実施し、2025年1月に公開した「レバテック IT人材白書2025」によると、エンジニア採用で最も重視されているのはコミュニケーション能力(38.6%)です。このコミュニケーション能力は雑談力や営業トークではなく、技術情報を整理して伝え、相手の理解を助ける力を指すものと考えられます。

出典:レバテック株式会社「レバテック IT人材白書2025」(調査期間:2024年11月22日〜11月29日)

営業的成果を出せる技術者の3つの力

営業が得意ではなくても成果につながる動きができる技術者には、共通して3つの力があります。
どれも特別な才能ではなく、エンジニアが日々の実務で磨いている力と地続きのものです。

技術を「相手の言葉」に翻訳する力(技術の価値化)

クライアントや非エンジニアに対して、専門用語ではなく 相手の理解できる言葉 に変換する力のことです

  • 「できる/できない」の理由を整理して説明する
  • 技術リスクをビジネスリスクの言葉で置き換える
  • 選択肢の違いを効果・コスト・速度で比較して伝える

これは、価値の翻訳です。
あなたが普段の開発で行っている「要件の分解・整理・説明」の延長線上にあります。

課題を構造的に捉えて、最適解を導く力(提案の設計力)

提案とは、何もゼロからアイデアを生み出すことではなく、相手の課題を正しく構造化し、技術的に実現可能な道筋を示すこと

  • 何が本質的な課題なのか
  • 何が制約条件なのか(予算・納期・体制・技術)
  • どの案を選ぶと、どんな未来になるか

これを示すだけで、クライアントは「この人に任せたい」という気持ちになる。
=営業的成果につながる瞬間です。

エンジニアの強みはまさにここで、論理的思考や要件整理は提案の骨格そのものです。

関係を安心で満たす力

トーク力よりも安心材料を提供できるかで決まります。

  • 懸念点を先回りして提示する
  • できること/できないことの境界を明確にする
  • 進捗の根拠を示しながらコミュニケーションする
  • 小さな約束を正確に守る

これらの積み重ねは、あなたの誠実さとして伝わり、結果的に「任せたい」という気持ちにつながるのです。

営業力が苦手なITエンジニアでも実践できる3つの技術

ここで紹介する3つの技術は、派手なセールストークとは完全に無縁。
むしろエンジニアが日常業務で培っている能力から自然に生まれる実践しやすい型です。

必要な情報だけを整理して伝える「ロジカル簡略化」

クライアントや非エンジニアに説明するとき、細かい技術背景まで丁寧に語りたくなるのがエンジニアの習性かもしれませんね。
しかし、相手が求めているのは「結局どうなるのか」 という要点。

だからこそ有効なのが ロジカル簡略化

  • 結論 → 理由 → 影響
  • 選択肢A/Bの違いを一言で
  • 技術用語をかみ砕いた比喩に置き換える

この3つのコツを押さえるだけで、あなたの説明は一気に伝わる説明へ進化するでしょう。

これこそ、トーク力ではなく構造化の技術。エンジニアの得意分野そのものです。

相手の懸念を先回りして取り除く「安心設計」

営業力とは、相手を説得する力ではなく、相手の不安を減らし、安心して任せてもらう力 です。

エンジニアの強みは、ロジックで未来を予測できること。その力をそのまま営業に応用しましょう。

  • 想定されるリスクを最初に明言しておく
  • 不確実なポイントは期限付きで調査すると宣言する
  • 曖昧な要件はその場で再整理して返す

こうした先回りの説明は、クライアントにとって大きな心理的安心につながります。

つまり誠実な情報提供が強い営業力になるということです。

日常の気づきをストックしておく「価値の引き出しづくり」

営業力=新しい視点での提案力とよく言われますが、実際に提案の元になるのは、実は日常の小さな観察 です。

  • ゲームのUIはなぜこの動線が主流なのか?
  • 人気アプリの課金導線はどう作られているのか?
  • 最近よく見るアニメーション手法は何か?
  • 競合サービスの改善ポイントはどこか?

こうした軽い気づきのストックがあるだけで、クライアントとの会話に使える切り口が増えます。

これは特別なインプットではなく、エンジニアとして普段から触れているものの見方を少し変えるだけ

その積み重ねが、「提案できる人」という評価につながります。

🔍 3つの技術の共通点

どれも

  • セールストークや高いテンションは不要
  • 無理に社交的になる必要もない
  • 売り込みとはまったく違う
  • エンジニアの本来の力の延長線

ということ。

「あ、これなら自分にもできる」 と腑に落ちるスキルセットなんです。

▼あわせて読みたい

日常の会話や伝え方にフォーカスしたこちらの記事も役立ちます。

👉 コミュニケーションが苦手なエンジニア必見。今すぐできるコミュ力最適化の方法

営業力が身につくと、エンジニアのキャリアはどう変わるか

ここでは、営業力=技術を価値に変える力が身につくと、あなたのキャリアにどんな変化が生まれるのかを具体的に見ていきます。

プロジェクトの上流工程に関わりやすくなる

営業力を持つエンジニアは、要求定義・要件整理・提案フェーズといったプロジェクトの入口から声がかかるようになります。

理由は明確です。

  • 要望を正しく整理できる
  • 技術リスクを言語化できる
  • 選択肢の現実性を示せる

これらが備わっている人はプロジェクト初期の判断の場で重宝されます。

上流に関わる機会が増えると、

無理な条件を避けやすくなったり、仕事の裁量が増える等のメリットが自然とついてきます。

無理な要求を跳ね返す

セルフディフェンス力が上がると相手の状況を理解しつつ、自分の立場も守ることもできます。

技術者が直面しがちな「あと1日でできますよね?」といった無理な依頼にも、落ち着いて対応できるようになるでしょう。

  • 工数の根拠
  • 技術的制約
  • リスクの見積もり
  • 代替案
  • スケジュールの妥当性

これらを淡々と示せるエンジニアは、感情ではなくロジックで交渉できます。

結果として、不必要な炎上や消耗を防げる=仕事が楽になる のです。

相談される側に回ることで評価が上がる

営業力の大きな副産物として、周囲から相談される頻度が増えるという変化があります。

  • 話が整理されている
  • 不要な言葉が少ない
  • 判断軸が明確
  • リスクを先回りできる

こうした特徴は、自然と「この人に話を聞こう」という信頼につながります。

その結果、プロジェクトのキーマンになり評価されやすくなるでしょう。

社内外で役割が広がることも考えられます。

キャリア選択肢が広がる(PM / SE / 技術営業 など)

営業力があるエンジニアは、技術だけでなく相手と動く力も持っているため、キャリアの射程距離が一気に広がります。

  • PM / PL
  • セールスエンジニア
  • プロダクトマネージャー
  • 技術コンサル
  • 技術営業
  • ITアーキテクト

これらはすべて「技術 × 合意形成」で成立する職種です。

つまり、営業力があるだけでキャリアの道筋が増えるのです。

フリーランスなら案件獲得力が格段に上がる

フリーランスのエンジニアにとって、営業力は案件獲得の根幹に直結します。

  • 説明が整理されている
  • 曖昧さを残さない
  • 約束が丁寧
  • 提案が現実的
  • 安心して任せられる

こうした特徴を持つフリーのエンジニアは、一度仕事をすれば次の案件に繋がりやすく、継続案件や紹介も自然と増えます。

結果として、収入の安定性と単価の伸びやすさが大きく変わります。

まとめ ─ エンジニアの営業力とは、技術を価値に変えるための武器

本記事で解説した通り、エンジニアに必要な営業力は売り込みとは真逆です。

それは、技術を価値に変え、相手と健全な合意形成をつくるための実践力であり、あなたが日常業務で磨く論理性と誠実さの延長線上にあるのです。

この力は、エンジニアのキャリアを根本から「楽」にします。

【キャリアパスとして:セールスエンジニアという選択】

なお、「エンジニア×営業力」の代表的な職種として、セールスエンジニアがあります。技術的な知識と営業力を駆使して、自社製品やサービスの販売をサポートするこの職種は、年々需要が高まっています。

営業力を身に付けた後のキャリアパスの一つとして、ぜひ検討してみてください。

あなたが「営業は苦手だ」と感じていたなら、それは古いイメージに縛られていただけかもしれません。今日から一つずつ、「ロジカル簡略化」などの技術を実践し、技術者としての武器を増やしてください。その一歩が、あなたのキャリアを大きく変える確信に繋がります。

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