エンジニアが転職して後悔するパターンと転職で失敗しないための対策とは?
2023/10/06
エンジニアに必要な英語力はどの程度なのか? TOEIC930点ホルダーSEが解説
ただでさえ新しい技術を習得してスキルをアップデートしなければならない私たちエンジニア。
そこに新たな目標として英語が加わるとなると少々うんざりしてしまうかもしれません。
しかし、グローバル化・ボーダーレス化が急速に進む今、英語を放置しておいて本当に大丈夫なのでしょうか。
そこで今回は、TOEIC930点・英語好き現役SEが、エンジニアにおける英語の必要性、求められる英語力、おすすめの勉強法について解説します。
そもそも、日本で働くエンジニアに英語力は必要なのか?
「エンジニアに英語力は必要なのか」。
これはかなり前から話題に上っていたトピックです。
英語の社内公用語化、TOEICハイスコア取得者や海外留学経験者の採用優遇、管理職候補者の英語力要件など……世間の“英語圧力”がどんどん増す中、「国内で働いているんだから英語力は必要ない」と突っぱねてばかりではいられなくなってきました。
現役SEから見ても、開発現場で英語力が必要になる場面が徐々に増えていると感じます。
たとえば……
ソースコードに書かれている英語を理解する必要がある
私たちがプログラミングするときに使うのはもちろん英語です。
変数を意味するvarはvariableから来ていますし、定数を意味するconstはconstantのこと。
英語をわかればソースコードをスムーズに理解できるようになりますから、エンジニアとして成長したいのであれば、普段の業務でも最低限の英語力(ここでは語彙力)が必要になります。
オフショア開発で必要に迫られることがある
オフショア開発とは、一部の開発・保守運用業務を人件費の安い海外の企業に委託することをいいますが、何しろ相手は外国人ですから、英語を始めとした外国語でのコミュニケーションが必要になります。
職場で外国人エンジニアと働く可能性がある
外資系企業を始め、外国人エンジニアと共に働く場合はもちろん英語力が必要です。
もし日本語がわかる外国人と業務をする場合であっても、英語が分かればコミュニケーションがスムーズになることは間違いないでしょう。
社内で英語が公用語になる可能性がある
外国人の多い企業やオフショア開発の割合の高い企業においては、社内公用語が英語になることがあります。ユニクロで有名なファーストリテイリングや楽天といった会社が英語を社内公用語とした会社はその代表的な例ですね。
最新技術の勉強のために英語の技術書を読むことがある
最近の技術を誰よりも早く学びたいと考えている意欲的なエンジニアであれば、日本語版が発売される前の英語の技術書を読まなければならない可能性もあるでしょう。
着手が早ければ早いほど他のエンジニアより先に成長できるメリットがあります。
加えて、ニッチな分野の技術書であれば日本語版が刊行されないこともあるため、そこで自分の強みとなる知識を身につけられます。
エンジニアに求められる英語力の目安は?
「うわ、やっぱり日本のエンジニアにも英語力が必要なんだ……」と少々焦りを感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、最初の段階では難しい交渉や議論ができるほどの英語力は求められません。言いたいことが大体伝わる英語力で構わないのです。
具体的には、英検であれば2級、TOEICであれば700点程度が目安。
英検2級は高校卒業程度、大学入学共通テスト(旧センター試験)と同程度の試験問題が出題され、語彙数でいうと5000語程度、テキストのうちの9割近くを既知の単語とするレベルです。
(参考:https://english-club.jp/blog/business-vocabulary-size/#1_80)
TOEIC 700点は大学受験で学んだ英語+ビジネス向けの語彙や表現を身につければ手の届く範囲です。受験者全体の上位3割程度ですが、着実に勉強すれば実現できるでしょう。
これらの対策についてですが、細かい文法やテクニックを身につけるよりも、まずはコツコツ語彙を覚えることが大切です。英検2級は語彙問題を多く含んでいますし、TOEICで700点を目指す場合においても英検2級程度の語彙力を持っておくことが前提となります。
業務のうえでも、語彙力を持っていることは海外の技術者とのコミュニケーションだけでなく、ネットで情報を集めるときや英語版のソフトを使うときにも役立ちます。適切な変数名をつけられるようになれば、ソースをスムーズに理解してもらうこともできるでしょう。
エンジニアが英語力を身に付けるメリット
英語力を身に付けて業務である程度使いこなせるようになれば、急に英語対応が必要になったときも焦ったり混乱したりせずに済みますし、次のようなメリットもついてきます。
海外の最新情報をいち早く入手してスキルアップ・キャリアアップに活かせる
先ほども少し触れましたが、海外で流行っているライブラリ、世界中で使われているソフトウェア、最新技術の論文、そういった技術はまず英語で提供されることが多いです。英語を使いこなせることで、抵抗なく先端技術に手を伸ばせるようになります。
給与水準の高い企業への転職も視野に!
英語が必要になる外資系企業は一般的に給与水準が高いので、英語力があればこうした企業への転職も現実的なものになるでしょう。企業の欲しがる人材需要に応えることは収入アップには必須ですから、高需要の多彩なスキルを持っておくことは大事ですね。
キャリアの幅が広がる
英語力国内外を問わずさまざまな仕事を任せてもらえるようになります。たとえば、ブリッジSEと呼ばれる職種がその一例でしょう。ブリッジSEとは、オフショア開発などの国内外一体となった開発において、国内と海外の橋渡し役として語学力を生かしてプロジェクトを進める職種です。
英語力は収入や労働条件だけでなく、自分にしかできない仕事ができるという自己実現の面からもプラスに働いてくれます。
海外現地IT企業へ就職できる可能性
英語が使えることで、英語を話す社員とともに現地の会社で勤務することも可能でしょう。
海外の文化に興味がある方、海外移住を夢見ている方はぜひ英語力を身に着けましょう。
海外案件に携われる
英語力があれば、海外移住はちょっと……という場合でも、国内にいながらクラウドソーシングという形で海外案件に携わることもできます。円安の影響もありますから、「外貨で稼ぎたい!」と考える方にとっては魅力的ではないでしょうか。
エンジニアにおすすめの英語勉強法
色々とメリットの多い英語の習得。重い腰を上げて勉強を始める気になりましたでしょうか。
では最後に、エンジニアにおすすめの英語勉強法をお伝えしておきましょう。
1.高校の英語を学び直す
学校を卒業してから英語の勉強をしていない方は、高校英語を学び直してみてください。
英検2級の取得を目標にするとわかりやすいでしょう。TOEICで600超えの点数を取るには高校で学ぶ英語力が前提になります。私の個人的な経験でも、高校で学ぶような基礎的なところがわかっていれば、特に対策しなくてもTOEIC600は取れると思います。
2.変数を命名するときに英語の辞書を使う
私の同僚のプログラマーがコーディングするときに、UIの設計の「ズレ」という意味の変数をzureX、zureYとしていたことがあります。これって非常にもったいないことだと思うのです。
この機会に「ズレ」って英語で何と表現するか覚えてみませんか。ちなみにこの場合は”gap”などの命名が考えられます。
3.技術関係の英語のビデオを見る
YouTubeなどの動画サイトには全世界から叡智とも言える知識が集います。多くの動画は英語が使われていますが……。そこで諦めないで、字幕などの機能を使ってでも英語を読み解いてみましょう。高校英語程度の知識と専門用語に関する理解があれば、時間はかかるかもしれませんが理解できると思います。そして次の機会にはもっとスムーズに理解できるようになるでしょう。
まとめ~生の英語、学びのススメ~
機械翻訳が発達する中で外国語を学ぶ意義に疑問を投げかける人もいますが、私は一介の語学好きSEとして、意味あるものと考えています。機械翻訳を通して英語を理解することは、「英語を日本語に翻訳したもの」、つまり単なる羅列した単語を読んでいるだけなのです。それって英語そのものを読んでいることとは全く違うことだと思いませんか。英語そのものを日本語のようにスムーズに理解できるようになってから得られる情報はきっと莫大なものです。
みなさんも英語力を身に付けて、全世界の叡智に手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
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