「SESは誰でも受かる」は本当か?SESの就職難易度やホワイトSESへの就職対策についても解説!
2024/06/19
【エンジニアの職位・PLとは?】PLの仕事内容や役割、PMとの違い、チームをマネージメントするコツを解説
PL(プロジェクトリーダー)はその名の通り”リーダー”です。したがって、PLを打診されたエンジニアはメンバーをまとめる立場として今までよりワンランク上のキャリアステージが用意されたことになります。PM(プロジェクトマネージャー)を目指している若手エンジニアにとっては将来の目標への手応えを感じ始めるのではないでしょうか。
しかし、浮かれてばかりではいられません。PLの役割をしっかりこなしてリーダーとしての結果を出したいのであれば、まずはPLの仕事内容、役割をおさらいしておく必要があるでしょう。
そこで今回は、キャリア30年以上のPL/PM経験豊富なベテランエンジニアが、PLの仕事内容や具体的な役割、PMとの違い、チームマネージメントのコツなどを解説します。
【この記事を書いた人】
<N.K>
独立系SIerで受託開発、ベンチャー企業でSES、3DCG系会社でプロマネ業務の経歴を持つアイ・ディ・エイチ所属のシニアエンジニア。エンジニアとして自由な働き方を模索する中、知人の紹介をきっかけにアイ・ディ・エイチの企業理念に共感して入社を決意。若手エンジニアに負けぬよう、ジェネラリストとしてさらなるレベルアップを目指し、日々精進中。
エンジニアの職位・PLとは何なのか?~PLの仕事内容や役割について~
それでは早速、PLの仕事内容と役割について見ていきます。
「現場でPLの仕事を間近で見ているし」「もう知っているから」という方も、もう一度確認しておきましょう。働きぶりの一部だけを見て知った気になっているだけかもしれませんよ!
PLの仕事内容 -PLとは何なのか?-
PL(プロジェクトリーダー)の仕事内容は端的に言うと「プロジェクトチームの管理」です。業種や開発規模によって多少の違いはありますが、メンバーをまとめつつ、作業タスクの作成や進捗管理などをすることが主な業務であると考えてもらえば良いでしょう。
またチーム内における作業や管理だけではなく、発注元となるお客様や発注先となる協力会社様に関係する作業を他部署のスタッフと連携して行うことも。
以上から、PLは”現場監督”のような立場であると言えます。
PLの役割
PLの仕事は「チームをまとめてスムーズに作業を進めること」と一言で片付けられてしまいそうですが、実際の業務は多岐に渡ります。PLを”役割”の面から見ていくと、その幅広さがわかるでしょう。
たとえば、学生さんがキャンプをする場合に当てはめて考えると……
<クラスという単位で旅行班を作る場合の班長さんが「PL」、班員さんが「メンバー」です。>
<班に与えられたミッションが「カレーの完成」だとすれば、班長さん(PL)はいつから調理をすれば食事の時間に間に合うのか。どういった材料が必要で、どのような順番で作業すれば目的となるカレーが完成するのかを計画して「しおり」を完成させ、班員に対して「食材担当」「火起こし」といった役割や作業(タスク)の割り振り・決定を行います。>
<班員に対して点呼をとったり作業を指示したり、予期せぬトラブルが発生したときは担任の先生に報告する作業も班長さん(PL)が行います。>
このようにして、PLはチームメンバーとコミュニケーションを取りながら現場業務のマネージメントもこなして、「カレーを完成させる(プロジェクトを成功させる)」というミッションに対して責任を持って行動しなければなりません。そのためには開発や設計のスキルだけではなく、管理能力とコミュニケーション能力も求められますから、今までより負担が大きくなることは確かです。
PLとPMの違いはどこにある?
PLの仕事内容と役割を理解したうえで、次はPMとの違いを見ていきましょう。エンジニア未経験者だけではなく、すでに現場で働いているエンジニアでさえ、この2つの職位を意識して見ていなければ違いがよくわからない場合があります。
PMとは?
最初にPM(プロジェクトマネージャー)の定義を明らかにしておきましょう。
PMはプロジェクト全体を管理・監督する総責任者です。具体的にはQCD(品質・コスト・納期)を守るために品質計画や要員計画、予算と納期の管理などを行います。
※PMについての詳しい解説は「PMになるには?方法や向いている人の特徴、必要なスキルを元PM社長が解説」の記事をご参照ください。
PLとPMの違いとは?
PLとPMの違いは役割(職域)・責任・管理対象の範囲にあり、当然ながらPMの方が広いです。
具体的には以下のようになります。
■役割
PM:プロジェクト全体の管理
PL:PMが立てた計画の実行・管理
■責任範囲
PM:プロジェクト全体の達成責任と実行責任の両方が対象
PL:PMが立てた計画の実行に関する責任のみが対象
■管理範囲
PM:ステークホルダー全員が対象
PL:プロジェクトチームが主な対象
PMはプロジェクトの総責任者なので対応する業務は規模が大きく、責任も重大です。まさにプロジェクトの命運を左右する存在と言えるでしょう。
一方、PLの管理・監督範囲はプロジェクトの一部、コミュニケーションを取る関係者もチームメンバーがメイン。両者の違いは明らかですね。
※小さなプロジェクトではPMの作業をPLが兼任して行うことも多いです。
SESのPLに求められるスキルとは?
PLに期待されるスキルの面でSESと自社開発企業、事業会社との間で特別大きく変わる部分はありませんが、SESのPLの場合、敢えて挙げるとすれば「管理能力」「コミュニケーション能力」に加え、「高いエンジニアスキル」を求められる傾向が強いと感じています。
というのも、SESは会社の看板イメージ以上に「エンジニアの能力そのもの」を評価しての契約となる
ことが多いからです。
では、その「高いエンジニアスキル」とはどのようなスキルのことなのか、以下の例を参考にしながら確認していきましょう。
たとえば、
①プログラミムA。実装不具合
②プログラミムB。仕様不具合
上記のような事態が発生した場合、
①Aの実装不具合→社内のエンジニアに詳細を確認します。
②Bの仕様不具合→我々は仕様通りに作りました。
このように対応するエンジニアがいるかもしれません。
どちらも間違っていませんが……SESのPLには次のように対応できるスキルが必要になってきます。
↓
①Aの実装不具合。→XかYが原因だと思います。緊急度も高くなさそうなので、社内のエンジニアに詳細を確認します。
②Bの仕様不具合。→XとYの仕様矛盾が原因だと思います。モジュールWは設計から作り直しを再検討した方が良いと思いますが、急ぎであればZ案(1日)で一時的な対策はできると思います。どうしましょうか。
ここからわかる通り、SESのPLがお客様に満足していただくためには不具合の原因や解決策、代替案を提案し、作業を円滑に進められるスキルが必要なのです。
多くの発注元(つまりお客様)は、自社ではやりたいことができない事情があるからこそ、お金を払って私たちSESのような外部に発注するわけですが、その結果が「実行→報告」という単純な仕事であればがっかりされるでしょう。SESのPLには常に自身のスキル+αが求められる点はぜひ覚えておいてください。
PLがプロジェクトメンバーを上手くマネージメントするコツ
PLにはメンバーのマネージメントスキルを求められます。前述の通り、メンバーのマネージメントはPLのメイン業務ですからここは避けては通れませんが、PLを初めて経験する方には”人の管理”が非常に難しく感じるかもしれません。
学校の宿題や受験のように勉強したから上手くいくかと言えばそうでもないですし、実践で慣れたとしてもプロジェクトやメンバーは一期一会なので、過去の経験が生かせる場面は少ないことの方が多いです。
したがって、PL初挑戦の場合、まずは書籍やネット上の情報を少しでも多く頭の中に入れつつ、周囲のプロジェクトを見る・聞くといったことを「意識」してみてほしいと思います。
私はよく、「実践してほしい」ではなく「意識してほしい」と伝えることが多いのですが、理由は「意識してほしい」の方がスキルを身に着けるうえでのハードルが低く、また「意識」するようになれば、おのずと「実践」につながると考えているからです。
このことをふまえ、私の経験からPLがメンバーを上手くマネージメントするコツ2点をお話ししたいと思います。
1. 人を観察する
これはチーム内だけに限らずステークホルダー全員に対しての人間観察を意識してみてほしいです。
私はこの業界に長くいますが、人間観察の不足が原因で失敗したなと思うことは多々あります。最初はなんとなくの雰囲気から性格を判断する程度でも構いません。
私はこのような人間観察をしながら「レヴィン*のリーダーシップ論」を参考にマネージメントの方向性を考えます。
*カート・レヴィン(Kurt Lewin、1890年 – 1947年)
ドイツ生まれの心理学者。社会心理学の分野に多大な影響を与えたことで知られる。「現代の社会心理学の父」とも称され、特にグループダイナミクスとリーダーシップスタイルに関する研究で有名。
レヴィンが提唱しているリーダーシップスタイルには以下の3つのタイプがあるのですが、それを使い分けることで集団での意思決定などが円滑に進められるというものです。
<専制型リーダーシップ>
専制型のリーダーは決定を一方的に行い、グループメンバーには指示を与えることが多いです。コミュニケーションはリーダーからメンバーへと一方通行で、メンバーの意見はあまり重視されません。短期間で効率的な決定が必要な場合に有効ですが、メンバーの満足度や創造性は低くなりがちです。
<民主型リーダーシップ>
民主型のリーダーはメンバーの意見を尊重し、意思決定過程に積極的に参加させます。このスタイルはコミュニケーションが双方向であり、グループ内の関係が強化され、創造性とメンバーの満足度が向上することが多いです。決定に時間がかかることが欠点ではありますが、一般的にはチームの協調を促し、持続可能な成果をもたらします。
<放任型リーダーシップ>
放任型のリーダーはメンバーに多くの自由を与え、自主的な意思決定を促します。サポートはするものの、日々のタスク管理や決定にはあまり関与しません。このスタイルはメンバーが自立しており、かつ、専門的なスキルを持つ場合に効果的ですが、方向性が不明確になることや、成果が不安定になるリスクがあります。
以上、それぞれにメリット・デメリットが存在するのですが、概念の基礎はすぐに覚えられるので、ぜひチームマネージメントの参考になさってください。
2.真似る
この業界にいれば周りにPLをたくさん見かけるでしょうから、成功しているPLからは自分が真似できそうな良質な部分を見つけ出し、真似して下さい。対して、失敗しているPLがいたら、何が原因で失敗しているのかを反面教師として学んでください。
私も長いエンジニア生活のなかで多くの先輩方やPL、PMを見てきました。一時期は「A先輩のようになりたい」と一本に絞っていた時期もありますが、千差万別のプロジェクトを常に100点で回せるエンジニアを、私は見たことがありません。ですから、これからPLに挑戦する皆さんも、多くの人やプロジェクトを見て、小さな成功と失敗を繰り返すことにより、臨機応変にプロジェクトを管理するスキルが少しずつ身に付いてくるのだと思います。
若手エンジニアがPLに挑戦するメリット
PLの経験は純粋なスキルアップになるので、給与がアップしたり、面白い仕事に触れる機会が増えたりするチャンスにつながります。
またPLはPMに必要な基本的なスキルを経験できるので、「将来的にそのようなポジションに興味がある」「そういった引き出しもあった方が良い」と考えている方には大きなメリットがあり、本気でPMを目指すなら避けて通れない道になるでしょう。
AndroidとJavaのプログラミングが大好きで、”エンジニアでいる限りは現場一筋”という方もいらっしゃるかと思いますが、時代によっては現場で求められるものは変わりますし、年齢によっては仕事に対しての面白さや価値観も変わってきますから、PLを経験するチャンスがあれば恐れずに、積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
PL候補者・志望者におすすめのIT資格13選
国家資格がなければPLになれないわけではありません。ですが、経験やスキルが不足している若い時期に勉強して資格を持つと自分に自信が持てるようになるので、興味がある資格には貪欲にチャレンジしてみましょう。
IT系の資格にはさまざまなものがありますが、国家資格・試験であれば以下がおすすめです。PL候補になる方であればすでに取得しているものがいくつかあるかもしれませんね。
①ITパスポート(IP)
②情報セキュリティマネジメント(SG)
③基本情報処理技術者(FE)
④応用情報技術者(AP)
⑤ITストラテジスト(ST)
⑥システムアーキテクト(SA)
⑦プロジェクトマネージャ(PM)
⑧ネットワークスペシャリスト(NW)
⑨データベーススペシャリスト(DB)
⑩エンベデッドシステムスペシャリスト(ES)
⑪ITサービスマネージャ(SM)
⑫システム監査技術者(AU)
⑬情報処理安全確保支援士(SC)
基本的には定番の国家資格である④③>②>①で十分だと思います。ただし、差別化を考えるのであれば、より専門的なスキルにチャレンジするのも良いでしょう。
たとえば、データベースであれば⑨だけではなく、日本オラクル社が主催するオラクルマスター(データベース認定試験)や、昨今のクラウド事情を考えるとAWS認定資格などもおすすめです。
PLを経験した後のキャリアパス
PLはPMと比べて限定的とはいえども責任を負う立場であり、プレッシャーに耐えなければならない職位です。苦労してPLをやり遂げた後はこの経験を無駄にせず、今後のキャリアに活かしたいもの。
一般的に、PLを経験した後は次のようなキャリアパスが考えられます。PMだけではありませんよ!
①PLM(プレイングマネージャー)として現場寄りの作業をしつつ、プロマネ寄りの作業を少しだけやる。
②PMO(プロジェクトマネージメントオフィス)としてPMを支援する立場を目指す。
③PM(プロジェクトマネージャー)としてプロジェクトの総責任者を目指す。
定番の流れとしては①→②→③の順に進むことになるでしょう。ただ、これはある程度大きな組織やプロジェクトに所属する場合の話であり、最近ではフリーランスエンジニアになったり、起業したりする人も増えています。
いずれにせよ、PLまで経験していると転職なども含め選択肢は大きく広がりますから、職位を引き受けた方は将来への希望を持って挑んでください。
まとめ
初めてのPL経験では色々と苦労することもあるでしょう。的確な指示や進捗管理だけではなく、メンバーのメンタルケアまで含めて一つのチームをまとめることがどれだけ難しいか、思い知らされる場面があるかもしれません。
しかし、PLを経験して学べることや得られるメリットは想像以上に多く、懸命に取り組めば大きなキャリアアップにつながります。
これからPLに挑戦する方は自分自身を信じてチームを引っ張るリーダーとして成長してください。最初は落ち込むことがあっても、結果は後からついてきます!
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