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2024/08/27
NFTとは何なのか?将来性やNFTエンジニアに必要なプログラミング言語・スキルも解説
情報化社会をもたらしたデジタル情報は、その利便性で私たちの生活を大きく変えました。
一方でデジタル化によってデザイン画像や写真、音楽など、本来は個人の創作物として大切に扱われるべき情報の希少性が失われ、価値の低下を招いたことも確かでしょう。
しかし、そこに登場したのがNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)です。
デジタル化で失われつつあった人の創作・知的活動は今、このNFTによって再び“価値あるもの”として評価されるようになっています。
そこで今回は、NFTが注目を集める理由と将来性、NFTを扱うエンジニアに必要なプログラミング言語やスキルについて解説します。
【この記事を書いた人】
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情報系工学部の大学を卒業後からIT業界で仕事を続けている経歴10年以上のエンジニア。
案件自由選択制SESという様々な経験と幅広いスキルを追及できる働き方と、お客様とHappy-Happyの関係を築きたいという理念に共感してIDHに転職。
これまでWeb系エンジニアとしてフロントエンドからサーバーサイドまでJava、Ruby、Pythonを中心に設計、プログラミング、テストまで幅広く担当し、通信インフラ、広告配信、人材派遣業、金融、ECサービス、IoTなど数多くのプロジェクトを経験。
NFTとは? ~“デジタルアートを億の価値にする技術”の特徴について~
NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)とは、デジタル資産の所有権をブロックチェーン上で証明するための技術のことを指します。
これにより、デジタルアートやコレクターズアイテムが唯一無二のものとして価値を持つようになります。
従来のデジタル情報(たとえば、写真や音楽ファイル)はコピーを作れるので誰でも同じものを所持できます。それゆえ、「デジタル化されたものには大した価値はない」と見られがちでしたが、NFTの技術を活用すればそこにオリジナリティ・唯一性・独占性が付与されて価値が生まれるわけです。
では、なぜNFTを活用すればこのようなことが可能になるのか、この技術の特徴を詳しく見ていきましょう。
唯一性
NFTは固有の識別子を持ち、コピーや改ざんが不可能なため、同じものが存在しません。このため、アートやゲーム内のアイテムなどがデジタル資産として唯一無二であることが証明されます。
これをビットコインのような暗号資産と比較するとわかりやすいでしょう。
たとえば、ビットコインはどのコインも同じ価値を持ち、他のコインと簡単に交換できます。しかし、NFTの場合は同じアート作品が存在しないため、同じ価値を持つ別の作品に交換することはできません。これが、NFTが持つ唯一性の特徴です。
不変性
NFTはブロックチェーンの技術を使って発行・管理されているため、取引履歴や所有者情報が安全に記録され、プライバシーも保護されます。
たとえば、あるデジタルアート作品がNFTとして発行されると、その作品がいつ、誰に購入されたかという情報がブロックチェーンに記録されますが、この記録は改ざんできないため、作品が正規のものであることをいつでも確認できるようになります。この仕組みにより、不正取引や偽造のリスクが大幅に減り、デジタル資産の不変性が保証されるのです。
分割不能性
ビットコインなどの暗号資産は、1ビットコインを0.5ビットコインや0.001ビットコインのように分割して保有できます。しかし、NFTは唯一無二の存在であるため、同じように分割できません。このように、NFTはそのままの形でしか所有や取引ができないという特徴があります。
※特定のプロトコル(ERC-1155など)ではNFTの分割や複数のオーナーシップの概念が存在する場合があります。
所有権の証明
アーティストが自身のデジタルアート作品をNFTとして発行することで、その作品の価値やオリジナル性が証明されます。もっと具体的に説明すると、アーティスト本人がNFTで作品を発行することで所有権を証明しているため、購入者はそのアート作品が本物であることを確認し、安心して購入できるのです。
さらに、NFTは作品の所有・取引履歴が明確かつ永久に保存されるので、作品が転売される際も、これまでの経緯が明確にわかるようになります。
スマートコントラクト
NFTには、ブロックチェーン上で事前に設定された契約(スマートコントラクト)に基づいて取引が自動的かつ確実に実行される仕組みがあります。これにより、NFTが売却された際はクリエイターへ自動的にロイヤリティが支払われることになりますから、その後また転売されても、そのたびに継続的に収益が発生することになります。
ここ最近、アーティストの手元に入る報酬の激減が問題視されていますが、NFTの登場により、これからは公正な報酬体系が構築されていく可能性があるでしょう。
資産性
2021年3月、アメリカのデジタルアーティストBeepleが制作したNFTアート作品「Everydays—The First 5000 Days」が老舗オークションハウスのクリスティーズにて競売にかけられ、約75億円で落札されました。これはNFTアート史上最高額の取引であり、デジタルアートの世界に大きな可能性を与えた出来事であったことは間違いありません。
NFTが芸術界に浸透すれば、上記作品のような将来大きな資産価値がつきそうなアートや音楽作品を、デジタル資産として保有できます。もちろん、世の中において“絶対的な価値“を維持できるものは非常に少ないですから、価格が大きく変動して価値が下がる場合もありますが……。
アートやゲームだけじゃない!NFTの活用事例
言ってみれば、NFTは制作者の意思やオリジナリティ、報酬などの本来制作者に保証されるべき総合的な権利がしっかり守られる技術であることがおわかりいただけたと思います。そして、それを世間に知らしめたのが、先ほど紹介したBeeple作品の巨額落札だったのでしょう。
このように、“Beepleの衝撃”があまりに大きかったため、以降はNFTと聞くとアート関連にメリットがある技術だと思われがちですが、NFTの活用場面はアート以外にもたくさんあります。
漫画やアニメ
著作者が漫画のキャラアートをNFTとしてオリジナル作品として所有権を保証したうえで発行し、利用者が購入するビジネスモデルでデジタルアートの市場に活用されています。
2021年には集英社が運営する「少年ジャンプ+」が一部の漫画作品をNFT化し、限定販売しました。人気作品の一部シーンやカバーイラストなどがNFTとして販売され、ファンに向けた新たな収益モデルを探る試みとして注目されたのも記憶に新しいところです。
ゲーム
ゲーム内の武器やアクセサリーなどのアイテムや、独自のキャラクターをNFTとして発行し、プレイヤーがデジタル上で所有・取引できる仕組みが利用されています。
また、インターオペラビリティ(相互運用性)を活用することで、異なるゲーム間でもこれらのNFTを取引できるようになっています。
音楽
ミュージシャンの楽曲やアルバムをNFTとして販売することで購入者から直接利益を得られます。
中間者を介さずに利益を得ることができるメリットがあり、楽曲の限定リリースや音楽ライブ映像などの特別なコンテンツやチケットの販売にも活用されています。
ファッション
バーチャル衣装やアクセサリーがNFTとして販売され、ユーザーはこれらをバーチャルイベントやSNS上でアバターに着用させることができます。
また、デジタルファッションのサービスとして、ユーザーがバーチャル衣装の中から好きな服を選び、それを自分の写真と合成してもらうことも可能です。これにより、現実では存在しないNFTで発行された服を着た自分の画像を作成し、SNSにアップロードできるようになります。
スポーツ
野球、サッカー、バスケットボールなどのスポーツ分野では、トレーディングカードやイベントのチケット、画像・動画など、これまでにはなかったデジタル形式での楽しみ方が広がり、ビジネスとしても期待されています。
たとえば、世界最大級のデジタルスポーツプラットフォームであるファナティクスでは、MLBの日本人スーパースターである大谷翔平選手のNFTがアイテムとして販売されています。
デジタルID
電子住民票などのデジタルIDをNFTアートとして発行し、オンラインでの身元確認や資格証明に利用する試みが進められています。
また、これらの技術は地方創生プロジェクトの一環としても活用されています。
教育・資格
教育機関が、卒業証書や資格証明書、表彰状などをNFTとして発行し、ブロックチェーン上で永続的に記録することが可能です。これにより、NFTの所有権証明の特性を活かして資格の偽造を防止できるようになります。
不動産
土地や物件をデジタル化し、NFTとして販売することで、ブロックチェーン技術を活用した不動産のデジタル資産化が進んでいます。これにより、実在する不動産だけでなく、メタバース上の仮想不動産もブロックチェーン上でデジタル資産として証明されるようになっています。
気になるNFTの今後は?将来性はある?
今後、NFTが異なるプラットフォーム間で利用できる仕組みが広がることで、デジタル経済に大きな影響を与える可能性があります。また、現実世界とメタバースが融合する中で、NFTがその橋渡しとして重要な役割を果たすと考えられています。
NFT=仮想空間←→現実世界
たとえば、現実世界の不動産や高価なアート作品をNFTとしてデジタル化し、それをメタバース内で展示したり、取引したりすることが可能になると、現実世界の資産が仮想空間でも価値を持ち、さらには売買もできるようになります。
また、現実世界で取得した資格や証明書をNFTとして発行し、それをメタバース内の学習や仕事に活かすなどできれば、現実と仮想が相互に影響を与える形で価値を交換できるようになることも考えられます。
NFTにはいくつかの課題も
NFTは将来性があるものの、課題も存在します。
まずは法規制の問題です。NFTの取引は国や地域によって異なる法律の適用を受けるため、適切な規制がまだ整っていない部分があります。そのため、法的なトラブルや詐欺のリスクが懸念されています。これからNFTが広く普及していくためには各国での規制が整備され、安全に取引できる環境が必要です。
次に、環境への影響です。
NFT(Non-Fungible Token)の取引や生成には、大量のエネルギーを消費することが知られています。これは、NFTがブロックチェーン技術、特にイーサリアムのようなプルーフ・オブ・ワーク(PoW)に基づいたネットワーク上で運用されていることが主な理由です。
ただ、最近ではイーサリアムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)というエネルギー効率の高いコンセンサスアルゴリズムに移行するなど、エネルギー消費を抑えるための取り組みが進められています。
NFTにかかわるエンジニアに求められる言語・スキルとは?
デジタルアートワークでの需要増、Web3.0(主にブロックチェーン技術を基盤とした分散型のウェブ)やメタバースのさらなる普及、ビジネス方面での実用化の拡大などが進めば、NFTは今後大きく成長する分野になるでしょう。2030年には数百億円の市場規模に成長するとの見方もありますから、エンジニアにとってもNFTは魅力的でないはずがありません。
そこで、最後に「将来はNFT分野に携わってみたい!」と考えているエンジニアに向けて、NFTを扱うときに必要なスキルについて解説したいと思います。
1. NFT関連の専門的知識のほか、枝葉となるスキル・知識も身に付ける
NFTエンジニアはブロックチェーンを用いたアプリケーションや決済サービスの開発・ブロックチェーン技術の研究が主な仕事内容です。
ブロックチェーン技術の専門的知識に加えて、暗号学、分散システム、スマートコントラクト、メタバース、データ構造、IPFSのP2Pネットワークプロトコル、セキュリティ、NFTが関連する知的財産権等の法律の知識も必要になります。
暗号通貨システムとブロックチェーン技術の知識は、一般社団法人日本暗号通貨技能検定協会が主催する「暗号通貨技能検定」の資格試験を通して知識を習得しても良いでしょう。
どちらにしても、NFTに関連する専門的な知識がない状態だと、要件定義や設計を担当できないので、NFTエンジニアとして上流工程に携わりたいのであれば、資格試験や書籍などを通して専門的な知識を習得するようにしましょう。
2. プログラミングスキルを身に付ける
NFTエンジニアはスマートコントラクトを作成するための機能を備えた「Solidity(ソリディティ)」というプログラミング開発言語を使用します。SolidityはJavaScriptに似たシンプルな文法でスマートコントラクトを実装できるため、習得難易度は低いとされています。
ブロックチェーンの普及が急激に進んでいることからSolidityエンジニアの需要が伸びていくことが予想されているので、NFTエンジニアを目指すのであれば、Solidityのプログラミングスキルを早い段階から身に付けておきましょう。
なお、SolidityはJavaScriptに似ているため、最初はJavaScriptの基礎を学習してからSolidityに入る学習手順をおすすめします。マイナーなSolidityから入るより、ブラウザ上にブロックチェーンを呼び出せるメジャーな言語、JavaScriptの基礎を学習してからの方が学習効率は良いはずです。
どちらにしても、NFTエンジニアのプログラミングスキルとしてフロントエンドの学習が必要であり、React、Next.js、Vue.jsといったフレームワークを活用したJavaScriptのプログラミング経験があると尚良いでしょう。
また、Solidity以外にブロックチェーン開発におけるプログラミング言語として、高速な処理が可能でNFTマーケットプレイスのバックエンドで活躍するGo言語、ブロックチェーンの開発でさまざまな重要な役割を持ちスマートコントラクトを開発するうえで不可欠なRustやPython、ブロックチェーンそのものの開発にはC言語やC++が活用されています。
それぞれNFT開発における目的が異なる言語となりますので、特徴を理解して学習するようにしましょう。
まとめ
NFTはデジタルの世界に新たな風を吹き込み、アートや音楽などの価値を再定義する技術です。今後はさまざまな分野でNFTの利用が進むことが予想され、その将来性は無限大と言えるでしょう。
NFTを扱えるエンジニアになれば、高度なITスキルを持つ人材として労働市場で優位に立てるだけでなく、技術と芸術が交差する瞬間に立ち会う機会や、社会やビジネスの仕組みを変える革新的なサービスを開発できるチャンスも得られるため、そのキャリアには大きな可能性が広がっています。
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