フリーランスエンジニアに必要な経験年数と単価への影響とは?IDHフリーランス営業担当が解説

フリーランスエンジニアに必要な経験年数と単価への影響とは?IDHフリーランス営業担当が解説

転職サイトの求人情報でよく見かける「経験3年以上」という応募条件。これは、独り立ちするには3年ほどかかるものだと認識されていることが非常に多い表れであり、実際、求職者が転職を考え始めるのは一通りの仕事をこなせるようになる3年目が多いといわれています。

では、この3年の経験年数は、フリーランスエンジニアに転向する場合でも応募の条件となるのでしょうか。

そこで今回は、数々の案件を扱うIDHフリーランス営業担当者が、フリーランスエンジニアに必要な経験年数と単価への影響について解説します。

【解説者プロフィール】
<IDHフリーランス営業担当:A.T>
東証一部上場の営業会社からキャリアをスタート。モバイル端末の営業、人事、商品企画部署を経験し27歳でマネージャーに。グループ会社に転籍し、人材派遣事業(子会社)を立ち上げて取締役へ就任するも、IT知識の乏しさが怖くなりシステム開発会社へ転職。SES営業と新規部署の立ち上げを経験後、アイ・ディ・エイチへ入社し、現在は営業リーダーとしてSES営業、新規開拓を行う。

フリーランスエンジニアに必要な経験年数~3年以上は必須?~

実務経験必須の求人に応募する際、経験知レベルを判断する基準とされることの多い「実務経験3年以上」についてですが、実はフリーランスエンジニアの採用においても同様の経験年数が求められると考えています

フリーランスエンジニアに求められる経験年数は3年以上、理想は5年以上!

日々さまざまなフリーランス案件に目を通していますが、2~3年以上の経験を条件としていることが圧倒的に多いです。Javaであれば、製造工程を担当するプログラマーやSEを募集する場合に2~3年以上の実務経験が求められます。この場合、上流工程ではないので単価は抑え気味となり、高単価は期待できません。

以上から、フリーランスエンジニアとして活動するなら3年以上の経験年数は必須であり、さらに高単価案件を狙うのであれば5年以上の経験が必要になると考えておいてください
5年以上の経験があれば上流から下流までを経験し、どの工程を任せても問題ないと判断されることが多く、対応できる業務の幅広さは単価に反映されやすくなります。

経験年数5年以上が求められるのはどのような案件なのか?

前述の通り、高収入(年収1000万円以上)を求めてフリーランスエンジニアに転向する方は3年といわず、5年以上の経験を積んでおきたいところ。
たとえば、Javaは金融業界やヘルスケア業界などの業務システムでよく使われている高需要・高単価の言語ですが、5年以上の豊富な経験が求められる案件が多いのも特徴。高単価なので要求される技術レベルもそれなりに高くなりますが、幅広い工程を10年経験しているベテランであれば単価100万円超えも可能です。

フリーランスになって稼ぎたいと考えている方は会社員時代にさまざまな業務を経験しておきましょう。

1~2年でフリーランスとして独立しても技術があれば案件は取れる?

最近は1~2年ほどの経験でフリーランスに転向する方も増えていますが、あまりおすすめできません。「エンジニアは技術があればいいのでは?」との意見もありますが、プログラミングは1~2年ですべてを理解し、使いこなせるほど浅い科学技術ではないことはエンジニアの皆さんがご存知の通り。そして、エンジニアである前にビジネスパーソンであることを考えれば、3年未満の会社員経験だけでは取引する相手として少々不安が残るものです。

ですから結論、「エンジニアとしてもビジネスパーソンとしても、このレベル感であればわざわざフリーランスエンジニアを使う必要はない」と判断され、見送られる可能性は高いでしょう。実際、登録面談でエージェントの営業担当者やコンサルタントに渋い顔をされる方は少なくありません。

エージェントが考えるフリーランスエンジニア転向のベストタイミングは経験5年~

以上から、フリーランスエンジニアに求められる最低経験年数は3年以上、理想は5年以上。独立のベストタイミングも5年以上です
ただし、同じことを漫然と5年続けていただけでは不十分。会社員時代に一通りの業務を経験していることが前提で、具体的には要件定義からできるかどうかが基準となります。

マネージメント経験はプラス評価

上流工程への参加のほか、マネージメントが必要になるPMやPLの経験はフリーランス案件の獲得においてもプラス評価になります。業務・人・予算を管理して上手く運用するスキルは案件の種類や雇用形態を問わず求められますし、ビジネスパーソンとしての力量の証明にもなるからです。

フリーランスを視野に入れている会社員エンジニアの方は、PMやPLを目指してみても良いでしょう。管理職ならではの苦労がありますが、その経験は将来必ず役に立ちます。

年齢や使用言語の数は重視される?

フリーランスの案件獲得において、年齢がまったく問われないわけではありません。案件によっては比較的若手を前提としているものがあるのは事実ですが、スキルと経験年数を満たしていれば年齢はそれほど気にしなくて良いでしょう

また、使用言語の数が多いからといって案件を獲得しやすいわけではありません。数よりも、習得した言語をどのような仕事でも活かせる応用力の方が重要だと思います

経験年数の単価への影響~IDHフリーランス保有案件での事例~

経験年数の単価への影響ですが、前述の通り経験年数によって単価は上下します

Java(Spring)の当社保有案件を例に挙げると、経験2年で70万円、3年は80万円、5年で90万円です。あくまで一例ですが、経験を1年重ねるごとに10万円増えていくイメージです。開発工程は多くの場合、要件定義・基本設定・詳細設計・製造(開発)・テストの計5フェーズですから、1年ごとに経験する工程を増やしていくと考えると、「独立のベストタイミングは5年以上」の理由に説明がつくのではないでしょうか。
※単価相場については「フリーランスエンジニアのための単価相場ガイド~IDHフリーランスで高単価案件を獲得したいエンジニア必見!~」をご参照ください)

実務経験1~2年で独立したフリーランスエンジニアが案件を取るためのアドバイス

フリーランスエンジニアに必要な経験年数は5年以上が理想とはいうものの、なるべく早く独立したい方や、3年を待たず既に独立してしまった方もいらっしゃるでしょう。そのような場合で案件獲得が上手くいかない場合は、次の点を意識してみましょう。

(1)コミュニケーションスキルを磨く

ここでいうコミュニケーションスキルは「チームメンバーとの意思疎通をスムーズにして仕事に支障が出ないようにする」「相手の話にしっかり耳を傾ける」「物事は端的に、わかりやすく説明する」……といった基本的なことではありません。これらは独立する前から備わっているのが当たり前だと思ってください。

フリーランスに必要なコミュニケーションスキルとは、自分自身の売り込みや単価交渉、トラブルに対応できる営業力・会話力・交渉力のこと。フリーランスには会社のように営業、総務、経理、法務などの管理部門がないのですから、基本的にはすべてを一人でこなす必要があります。

なお、単価交渉についてはエージェント側もできる限り努力しますが、これはスキルがあってはじめて成立する話。そもそも単価アップの根拠となるスキルがなければ交渉テーブルに乗せることが難しくなります。

(2)スキルシートの解像度を上げる

スキルの解像度を上げる=自分のスキルや経験してきたことを相手に伝わるように、わかりやすく書くことです。どの言語で何をしていたか、その経験を通してどのようなスキルが身に付いたのか……など、突き詰めれば自身の強み、アピールポイントは必ず出てくるはずですから、そこを詳しく、わかりやすく書いてください。スキルや経験を詳細かつ読みやすい文面に落とし込める言語化能力は絶対に必要です。

(3)案件を選り好みしない

「仕事を選べるからフリーランスに……」と考えていた方には申し訳ないのですが、経験不足のまま独立してしまった以上、案件を選んでいる余裕はありません。また、クライアント側にも報酬を支払う以上、エンジニアを選ぶ権利があります。

経験が浅いフリーランスエンジニアの方は一度単価や仕事内容を度外視し、まずは今のスキルと経験で対応できそうな案件に参画してみてはいかがでしょうか。そこで足りない経験を埋めていきましょう。

経験年数3~5年以上のフリーランスエンジニアが高単価案件を取るためのアドバイス

一方、実務経験3~5年以上のフリーランスエンジニアの方は上記(1)~(3)に加え、次の点を心がけましょう。

(1)新しい技術を身に付ける

新しい技術を身に付けましょう。エンジニアは常に新しい技術を学ぶ必要がありますが、経験1~2年では仕事についていくのに精一杯だったのではないでしょうか。その点、経験3~5年以上の中堅エンジニアは仕事の幅を広げられる余裕が出てきますから、このあたりで新しい技術の習得に本腰を入れてみてください。一つの技術に固執し続けないこと!ただし、需要のある技術を優先しましょう。フリーランスである以上、何事も「将来の収入につながるか否か」という観点は必要です。

(2)初心忘るべからず。謙虚であれ!

ある程度経験があるからといって”上から目線”はいけません。仕事に自信を持てるようになると「開発してやっているんだ」という態度がにじみ出てしまうフリーランスエンジニアの方がいらっしゃるのですが、技術より先に人としての見られ方に注意していただきたいです

いくら技術と経験があってもビジネスパーソン、一人の人間としての信頼に欠けるようでは案件を獲得できません

まとめ

フリーランスは非常に魅力的な働き方です。案件によってはフルリモートで働けることもあるうえ、技術があれば高単価案件で会社員時代の年収を超えることも可能。実力と条件さえ揃えば自由度の高い働き方と高収入を実現できます。しかし、この2つを同時に得ることはなかなか難しいのが現実です。
それでもなお、フリーランスに挑戦するのであれば、独立する前に”戦う準備”をしっかりしておくことが重要になってきます。

フリーランスを目指している経験1~2年のエンジニアの方は、会社員時代に学べること・経験できることはすべて吸収して、自分のものにするぐらいの情熱を持って仕事に取り組んでください。オフィスやパソコン、営業や法務の知識まで、さまざまなものが与えられるのが会社員であり、この恵まれたリソースを活用できない人に独立は厳しいです。

また、経験年数を問わず、基本的なビジネスマナーは本当に大切です。フリーランスは会社という後ろ盾がない分、ビジネスマナーで躓くと一気に信用を失いかねません。「ラフすぎる服装で面談に参加する」「オンライン面談で私生活が丸見えの雑多な部屋が映っている」「相手が年下だとわかった瞬間に敬語が崩れる」……こういった点はマイナス評価になるので注意しましょう。