フリーランスエンジニアは一日何時間働けばいいの?スケジュール例と稼働時間の目安

フリーランスエンジニアは一日何時間働けばいいの?スケジュール例と稼働時間の目安

Last Updated on 2025年12月16日 by idh-freelanceidh-freelance

「フリーランスエンジニアって、一日何時間働くのが普通なんだろう?」
「会社員みたいにだいたい8時間なのか、そんな縛りはゼロなのか?」
「月収60万円を稼ぐにはどれくらい働く必要があるの?」

フリーランスへの転向を考えると、このあたりがまず気になるポイントだと思います。

実は1日8時間前後で働くフリーランスも多い一方で、契約形態によっては 週3日だけ働くケース や、
逆に 納期前は10時間を超える日が続くケース もあります。

働き方に幅があるのがフリーランスの特徴ですが、その自由度が「どれくらい現実的なのか」を把握しておきましょう。

本記事では、

  • 現役フリーランスエンジニアの一日のスケジュール例
  • 契約形態ごとに変わる労働時間の実態
  • フリーランス新法(取引適正化)の影響
  • 働きすぎを防ぐための時間管理術

これらをまとめて整理します。
フリーランスの働き方を具体的にイメージしたい方は、ぜひ参考にしてみてください!

フリーランスエンジニアは一日何時間働くのが一般的?

フリーランスエンジニアの一日の労働時間は、働き方(常駐・リモート)や契約形態によって大きく変わります。

好きな場所で好きな時間に……と自由度が高いイメージがありますが、実際には1日7〜8時間の「会社員に近い働き方」をしているケースも多く、一方で短時間案件や納期前の10時間超えなど幅も広いのが特徴です。

会社員との違い

会社員の場合、所定労働時間や休憩時間、残業ルールが会社の規定により明確に決まっています。

一方、フリーランスには法的な労働時間の規制がなく、実際の稼働時間は案件内容やクライアントとの契約によって決まります。

例えば以下のような働き方があります。

  • 会社員と同じ時間帯(10〜19時など)で働く案件
  • フルリモートで自己管理しつつ任される案件
  • 短時間で稼働する案件
  • 納品に間に合わせるため、作業量を自分で調整する案件

誰も管理をしてくれないので、「どれくらい働けばいいか」を自分で判断する必要があり、計画性が求められるといえます。

契約形態によって変わる労働時間(準委任/請負)

フリーランスの労働時間に最も影響するのが、準委任契約と請負契約の違いです。

【準委任契約】
・稼働時間に応じて報酬が発生する
・1日7〜8時間、週40時間前後になることが多い
・生活リズムが安定しやすい

【請負契約】
・成果物に対して報酬が発生する
・作業時間は自由に調整できる
・納期前に長時間労働になりやすい
・月ごとの稼働時間の変動が大きい

請負は自由度が高い反面、スケジュール管理を誤ると月250時間超えなど、長時間化するリスクがあります。

準委任:作業に対する報酬が中心の契約だが、2つのタイプがある

準委任契約は、エンジニアの業務委託で最も一般的な契約ですが、実は 「履行割合型」と「成果完成型」 の2種類があります。

多くのエンジニア案件で用いられるのは 履行割合型 です。
稼働時間や工数といった「どれだけ作業したか」に応じて報酬が発生し、週5日・1日8時間など、会社員に近い働き方になるケースもあります。

一方で民法改正(2020年)により整理された成果完成型の準委任では、準委任であっても、成果物の完成に対して報酬が発生します。請負契約に近い性質を持つものの、契約上は準委任として扱われる点が特徴です。

ITフリーランスでは履行割合型がほとんどを占めますが、準委任=時間報酬、という単純な構造ではないことを理解しておくと、スムーズに契約内容を把握できるようになるはずです。

フリーランスエンジニアの一日のスケジュール例

フリーランスエンジニアの働き方は、契約形態によって時間の使い方が大きく変わります。
ここでは、準委任・常駐あり・請負の3タイプで一日のスケジュール例と、月収の目安をあわせて確認していきましょう。

・準委任:安定稼働タイプ

想定単価:月60〜80万円(週5・1日8時間稼働の相場)
時給換算:3,750〜5,000円前後

準委任契約は、フルタイムの会社員に近い働き方になりやすいといえます。
稼働時間があらかじめ決められており、残業がほとんど発生しないケースも多く、
「月収60万円稼ぐにはどれくらい働くのか?」という疑問には、
週40時間(1日8時間×週5日)で到達しやすい、という形で答えられます。

もちろん緊急性の高いバグ対応やリリース直前などは、時間外の対応が必要になることもあります。

<スケジュール例:フロントエンドエンジニア・Tさん(準委任)>

 

時間 内容
7:00 起床・朝食・メールチェック
8:00 クライアントMTG
9:00 コーディング・設計作業
12:00 昼食
13:00 コーディング・テスト
16:00 フィードバック対応
17:00 終業
20:00 自主学習
22:00 就寝

 

 

・常駐あり:コミュニケーション重視タイプ

想定単価:月50〜70万円(週3常駐+残りリモートの複合パターン)
時給換算:3,000〜5,000円程度

週3日だけクライアント先へ常駐するタイプの働き方です。
対面コミュニケーションができるので進行が早くなる一方、時間の自由度はやや下がります。

<スケジュール例:モバイルアプリエンジニア・Nさん>

 

時間 内容
7:00 起床・朝食
9:00 クライアント先で業務開始
10:00 ミーティング
11:00 コーディング
13:00 昼食
14:00 実装・テスト
17:00 終業
21:00 自主学習・就寝準備

・請負:成果物固定タイプ

想定報酬:1案件40〜120万円(規模で大きく変動)
月70〜120万円に達するケースもあるが、納期前は1日10〜12時間になりやすい

請負は成果物の納品がゴールとなるため作業量が読みにくく、
スケジュールが詰まりやすい働き方です。

短期的に高収入を得られる場合もありますが、自身での時間管理に注意が必要な契約形態といえます。

<スケジュール例:Webアプリエンジニア・Mさん>

 

時間 内容
6:30 起床・メールチェック
7:00 進捗報告
8:00 実装
12:00 昼食(デスクで簡単に)
12:30 バグ修正
15:00 休憩
15:30 テスト・デバッグ
18:00 夕食
19:00 ドキュメント作成
21:00 中間報告
22:00 終業

 【最新トレンド】AI活用・契約形態で変わる働き方の今

AIツールの爆発的普及や契約形態の変化によって、フリーランスエンジニアの働き方はここ数年大きく揺れています。以前はもっと「作業時間=労働量」という構図がはっきりしていたのですが……。

AIツールで短縮される作業時間と増えるレビュー工数

AIの支援が当たり前になったことで、実装スピードは確実に速くなりました。下書きコードを自動で生成してくれるため、手を動かす時間は昔より短くなっています。
その一方AIが書いたコードを精査するプロセスが欠かせず、レビューや動作確認に思いのほか時間を取られることも多いのです。
結果的には「実装が早くなる分、確認の工程が増える」というエンジニアの意見が増えてきています。

リモート案件の単価相場

リモート前提の案件は以前より取りやすくなりました。相場感としては、フルリモートで60〜100万円前後、常駐が絡むともう少し高めになることが多いです。リモートは自由度が高い分求められるスキルを細かく設定されることも。非対面でも作業が滞らないよう、タスク整理やコミュニケーションの正確さについても重視されるようです。

成果報酬型など新しい契約の動き

準委任契約が主流である状況は変わっていませんが、報酬の一部を成果とリンクさせる契約を採用する企業が増えています。機能が完成したタイミングで報酬が発生したり、成果指標に応じて報酬が変動したりと、働き方も多様化しています。
時間に縛られないメリットがある反面、成果に対する責任が明確になるため、経験や計画力が問われるでしょう。自分の得意分野がはっきりしているエンジニアであれば活用しやすい契約です。

フリーランスエンジニアの月平均稼働時間はどれくらい?

フリーランスエンジニアの働き方は案件特性に左右されやすく、「毎月これくらいが普通」と一概には言えません。まずは傾向をつかむ参考として、フリーランス市場全体の稼働時間データを見ておきましょう。

白書データから見る平均値

「フリーランス白書2024」によれば、最も多い層は『140〜200時間未満』(36.4%)。週5日・1日8時間に近い働き方をしている層が一定数いることがわかります。

ただしこの調査結果はエンジニアに限定されたものではないという点です。

フリーランスエンジニアの場合、以下のように稼働の波が大きくなるケースがあります。

  • 準委任案件:フルタイム前提で160〜200時間に近づく
  • リモート案件:稼働は安定するが、MTG時間帯が固定されやすい
  • 請負案件:納期前に集中し稼働が増え、月ごとのばらつきが大きい

フリーランス白書はあくまで「フリーランス全体の一般的なレンジ」。

エンジニアは「納期・品質」に左右される局面も多く、150時間台に落ち着く月もあれば、220時間を超える月もあるといった変動が発生しやすいことを押さえておきましょう。

出典:フリーランス白書2024(一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)

フリーランスエンジニアがスケジュール管理で押さえておきたいポイント

フリーランスエンジニアは、働く時間そのものを自分で設計していく必要があります。
納期のある請負、フルタイム前提の準委任、ミーティングがちょくちょく挟まれるリモート案件……いずれの働き方でも「時間をどう扱うか」はしっかり考えておきたい軸。

本セクションでは日々の稼働を整えるうえで役立つ考え方をご紹介します。

時間を意識するシンプルな方法

最初はシンプルかつ効果がある行動から始めるのがおすすめです。

朝イチで「今日の作業量」をざっくり見積もるだけでも一日の組み立てが変わります。
ミーティングやレビューが散らばりやすい案件の場合は、作業に集中できる固まり時間を先に確保しておくと、後ろにしわ寄せが来にくくなります。

また、タスクをすべて頭の中で管理しようとすると漏れが起きやすいため、何か思いついたら一旦どこかに書き出すメモを習慣にすると、頭の負荷が下がります。

時間管理というと堅苦しく感じますが、「今日どれくらい進めるのか」「どこに集中するのか」
を軽く言語化するだけでも、作業量の見通しが立ちやすくなりますよ。

ツールを使った時間・タスク管理の方法

ツールはあくまで労力を減らす補助的な存在として見ておくのがちょうどいいです。

たとえば、作業時間を計測できるアプリ(「Toggl」や「Clockify」など)を使うと、
自分がどの作業にどれだけ時間を使っているのかが数字で見えるようになり、精度が自然と上がります。

タスク管理は、Trello のようなカンバン形式でも、Googleカレンダーでも構いません。
重要なのは、
「やることを一つの場所にまとめておく」
「期限のあるタスクを視覚的に把握する」
この2点が満たせれば十分です。

また、AIコード支援ツールを使っている場合は、AIに任せる工程と人間が判断すべき工程を分けておくと、時間の見積もりが安定しやすくなります。

複数案件を掛け持ちする際のリスクと注意点

フリーランスは案件を自由に選べるため、収入を安定させる目的で複数案件を同時に受ける人もいます。
とはいえ掛け持ちはメリットだけでなく、体力面や品質面での負荷が高くなりやすい働き方。
ここでは注意しておきたいポイントをお伝えします。

健康リスク

掛け持ちが続くと、作業時間が長くなりやすく、睡眠が削られるケースも珍しくありません。
一時的な忙しさならまだしも、常に二つ以上の案件を抱えている状態が続くと、疲労が蓄積し、集中力の低下につながります。
特に請負案件は納期前に作業が偏りやすく、準委任案件と重なると負荷が一気に増えるため注意が必要です。

生産性低下による品質・納期リスク

複数のコードベースや開発文化を行ったり来たりすると、思った以上に切り替えコストが発生します。
一つひとつの作業は軽くても、コンテキストを取り戻す時間が積み重なり、生産性が下がりやすくなります。

その結果、単価の高い案件でも実質の時給が下がってしまったり、レビュー対応が遅れたり、納品物の品質に影響することがあります。

掛け持ち判断の基準

掛け持ちが適切かどうかは、案件の負荷と自分のワークスタイルによって判断が変わります。
一般的には、次の三点を基準に考えると無理が出にくくなります。

  1. メイン案件の稼働が安定しているか
  2. サブ案件のタスク量が明確で、突発対応が少ないか
  3. 一週間単位で余力がどれくらいあるか

特に、準委任案件をメインに据える場合は、サブ案件が常に後ろ倒しになりやすいため、固まり時間を確保できる見通しがあるかを事前によく確かめておきましょう。

 

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フリーランス新法で働き方はどう変わるのか

2024年11月に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(正式名称:「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)は、フリーランス全体を対象にしたもので。フリーランス新法、フリーランス保護新法などと呼ばれています。
エンジニアに特化した制度ではありませんが、仕事の進め方に関わる点がいくつかあります。

まず、業務委託をすることに合意した時点で、速やかに取引条件をメールなどで明示することが義務づけられました。
口頭でふわっと始まってしまうような案件が減り、業務内容や納期、報酬などが初めから確認しやすくなっています。

また、報酬の支払い遅延に関するルールが整備され、支払期日の明記や適切な支払いサイクルが求められるようになりました。
これは個人側が弱い立場になりやすい部分をフォローする意図があります。

とはいえ、この法律が労働時間そのものを規制するわけではありません。
準委任や請負といった従来の契約形態はそのまま残っており、請負のスケジュール例の後稼働の波が大きくなる案件は今後も存在します。
フリーランス新法の影響は働き方そのものが変わるというより、契約や取引の透明性が少し高まる、と捉えておくのが現実的です。

まとめ:自由なのがフリーランス!だけど時間管理と契約理解が不可欠

フリーランスエンジニアは働く場所や時間を自分で選べる一方で、労働時間の調整や健康管理、契約内容の理解まで自分で責任を持つ必要があります。
一日のスケジュールや月の稼働時間は人によって大きく異なりますが、共通して言えるのは「自分でコントロールする力」が働きやすさを左右するということです。

無理のない働き方を続けたい人ほど、契約形態の違いを理解し、タスクを整理し、必要な時はペースを調整することが大切です。
自由度の高さを味方につけて、フリーランスという働き方を快適に整えましょう。

フリーランスになる前に、知っておきたいこと

フリーランスは、働く時間を自分で選べる反面、すべてを一人で判断する必要があります。

IDHフリーランスでは、「独立が合うかどうか」から一緒に整理することを大切にしています。無理にフリーランスを勧めることはありません。

まずは情報収集の一環として、気軽に話を聞いてみてください。

フリーランスになる前に、知っておきたいこと

フリーランスは、働く時間を自分で選べる反面、すべてを一人で判断する必要があります。

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