フリーランスエンジニアとSESエンジニア、どちらがいい?それぞれの違いとメリット・デメリットを解説
スキルと案件単価によっては高収入が狙えるうえ、柔軟な働き方を実現しやすいフリーランスエンジニア。特に高収入の可能性は大きな魅力であり、フリーランスエンジニアへの転向を希望する方は年々増えています。
そのような状況の中、最近はフリーランスエンジニアを目指す方がSESエンジニアを検討の選択肢に入れるパターンもよく聞くようになりました。一昔前なら両者が比較対象になることはほとんどありませんでしたが、エンジニアが案件を選べる案件選択制や高還元率、リモートワーク案件が豊富な“ホワイトSES”が登場したことにより、SES企業への印象が変わりつつあることが背景にあります。
そこで今回は、IDHフリーランスの営業担当者がフリーランスエンジニアとSESエンジニア、どちらを選ぶべきかで悩む方に向けて、両者の違いや共通点、それぞれのメリット・デメリット、働き方を変える場合の注意点を解説します。
【解説者プロフィール】
<IDHフリーランス営業担当:A.T>
東証一部上場の営業会社からキャリアをスタート。モバイル端末の営業、人事、商品企画部署を経験し27歳でマネージャーに。グループ会社に転籍し、人材派遣事業(子会社)を立ち上げて取締役へ就任するも、IT知識の乏しさが怖くなりシステム開発会社へ転職。SES営業と新規部署の立ち上げを経験後、アイ・ディ・エイチへ入社し、現在は営業リーダーとしてSES営業、新規開拓を行う。
目次
フリーランスエンジニアとSESエンジニアの違い~年収やマージンはどうなる?~
冒頭の通り、フリーランスエンジニアとSESエンジニアとの差は埋まってきていますが、両者をよく比較してみると次のような違いがあります。特に古い体質の企業にありがちな「案件を選べない」「年功序列・固定給」のSES企業である場合はフリーランスとの差が依然として大きいままと言えるでしょう。
契約形態
<フリーランスエンジニア>
フリーランスエンジニアはクライアントと直接契約を結びます。契約形態は業務委託契約が一般的であり、特定のタスクやプロジェクトの完成を目的とするものが多いです。
<SESエンジニア>
SESエンジニアはクライアントと直接契約を結ぶことはなく、所属するSES企業とクライアントとの間で準委任契約が締結されます。準委任契約とは、特定の業務を遂行(技術の提供)するために、依頼者(クライアント)と受任者(SES企業)との間で結ばれる契約の一種です。この契約において、SES企業は依頼された業務を自社の責任で行うことになりますが、作業の過程や方法についてSES企業に一定の裁量が認められています。
SES企業とSESエンジニアとの関係は正社員であれば正規雇用(原則定年まで雇用)、契約社員であれば有期雇用(原則3年、専門的知識を有する者は5年)です。
年収
<フリーランスエンジニア>
フリーランスエンジニアの年収は案件単価やスキル、市場の需要などに大きく依存します。そのため年収が変動しやすいですが、高いスキルを持ち、クライアントと良好な関係を築ければ、会社員エンジニア時代をはるかに超える年収を得られる可能性が高くなります。
<SESエンジニア>
SESエンジニアはSES企業に雇用され、クライアントに派遣される形で働きます。年収は基本的にSES企業が定める給与体系により決まりますが、スキル見合いの制度を採用しているSES企業であれば、エンジニアのスキルレベルによって年収の変動幅が大きくなります。
マージン
<フリーランスエンジニア>
クライアントと直接契約すればマージンは発生しませんが、フリーランスエージェントを介して案件を獲得した場合は紹介料としてマージンが発生します。
<SESエンジニア>
SES企業から案件の紹介料としてマージンを徴収されます。マージン率は企業によってさまざまですが、最近はマージン率を低く設定してエンジニアの定着率を上げるSES企業が増えています。
リスクと社会保障
<フリーランスエンジニア>
フリーランスエンジニアは案件が途切れると収入が途絶えたり、クライアントからの支払いが遅れたりする場合があり、経済的に不安定になるリスクをはらんでいます。
また、健康保険や年金の支払いは全額自己負担となり、支払い額は企業に雇用されている場合に比べて高額です。会社員時代に享受できた各種福利厚生も基本的にはありません。
<SESエンジニア>
SESエンジニアは正社員(または契約社員)として雇用されているため毎月の給与で収入が比較的安定しているうえ、企業が加入している健康保険組合の健康保険や厚生年金、雇用保険が適用となり、企業によっては各種サービス施設の割引利用やスキルアップ講座の無料受講などの充実した福利厚生も用意されています。
案件の選択肢
<フリーランスエンジニア>
フリーランスエンジニアは自身のスキルや興味に合った案件を自由に選び、応募できます。企業に所属しているわけではありませんから、誰からも仕事を強制されることはありません。ただし、案件を選べるだけのスキルや経験があることが前提です。
<SESエンジニア>
案件を選べないSES企業の場合は会社都合で案件にアサインされます。このため前述の通り、エンジニアが望むキャリアの構築が難しくなることがあります。
働き方
<フリーランスエンジニア>
フリーランスエンジニアは自身のスケジュールやライフスタイルに合う案件を選ぶことで、業務量や稼働日数をコントロールできます。
また、フリーランスエンジニア向けの案件はリモート勤務を可とするものが多いのも特徴。ただし、希望条件に合う案件が見つかるとは限らず、条件にこだわり続けるといつまでも仕事にありつけない場合もあります。
<SESエンジニア>
アサインされる案件によって業務量や働く場所、稼働時間帯に差があります。SESエンジニアが指示を仰ぐのは所属するSES企業ですが、クライアントの要望を無視するわけにはいきませんから、フリーランスエンジニアと比べるとどうしても働き方の自由度が狭まってしまう点は否めません。
フリーランスエンジニアとSESが「どちらも変わらない」といわれる理由とは?両者の共通点
上記だけ見ても、フリーランスエンジニアとSESエンジニアには多くの違いがあることがわかります。にもかかわらず、「結局はどちらも変わらない」といわれるのは次のような共通点があるからです。
案件(プロジェクト)ベースの仕事
フリーランスエンジニアもSESエンジニアも、案件(プロジェクト)ベースで仕事をする点は共通しています。クライアントからの要望に基づいて、一定期間内に特定の業務を遂行または完成させる必要があり、どちらも契約の始まりと終わりが明確であるという特徴があります。
外部人材として参画
フリーランスエンジニアもSESのエンジニアも必要に応じて働いてもらう外部人材としての位置付けですから、クライアントの事業運営や新しいサービスの企画提案などに携わることは難しかったり、アクセスできる情報に制限が設けられていたりします。
フリーランスエンジニアとSESエンジニア、それぞれのメリット・デメリット
フリーランスかSESか――。
どちらも一長一短があるのでキャリア選択の際は非常に迷うところではありますが、ここで改めてフリーランスエンジニアとSESエンジニアのメリットとデメリットをまとめておきましょう。両者の違いで述べた内容と一部重複しますが、ここではもう少し掘り下げて解説していきます。
フリーランスエンジニアのメリット・デメリット
<メリット>
・柔軟な働き方を実現しやすい
自身のスケジュールやライフスタイルに合った案件を獲得できれば、働く場所や業務量を調整しやすいでしょう。SESエンジニアに比べ、リモート案件が多い傾向にありますが、常駐案件も健在です。
・スキル次第では年収1000万円超えも
高度なスキルと豊富な経験があれば、年収1000万円超えも可能です。エンジニアとしての実力が収入に直結するからこその結果と言えるでしょう。優秀なメンバーを集めて起業すれば、さらなる収入アップを見込めることも。
・人間関係のストレスが軽減される
外部人材という立場上、オフィスでありがちな社内政治や上司との対立、同僚間の競争といった人間関係のトラブル・ストレスから一歩距離を置けることがあります。
・スキルや興味がある分野の案件を選べる
今のスキルに合った案件や興味がある案件を選べば、より楽しみながら働けます。会社都合でアサインされるSES企業や会社の方針に従わざるを得ない自社開発企業、事業会社と比べると、仕事内容における自由度は突出しています。
<デメリット>
・収入が不安定、支払いトラブルに直面することも
案件(プロジェクト)ベースで働くため、仕事が途切れた場合は収入も途切れます。独立したばかりの頃はなかなか収入が安定しませんし、万が一、クライアントが報酬の支払いに遅れたり、支払いを渋ったりする場合は自分自身でトラブルを解決する必要があります。
・福利厚生がない
会社員の場合は雇用主(企業)が半分負担する年金保険料社会保険や健康保険料ですが、フリーランスの場合は全額自己負担となり、駆け出しの頃は経済的な打撃となります。また、フリーランスには有給という概念がないため、案件によってはまとまった休暇を取ることが難しくなる場合もあるでしょう。
・徹底した自己管理が必要
自分自身でモチベーションを維持し、生産性を高める必要があります。フリーランスは仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちなのでワークライフバランスを保てず、会社員に戻るエンジニアも少なくありません。
・想定外の長時間労働
通常、会社員は労働基準法により過度な時間外労働から保護されますが、フリーランスエンジニアは労働基準法が定める「雇用者」(企業に雇用されている人)に該当しないため、うっかり炎上案件や残業体質の現場に参画してしまった場合は図らずも長時間労働になることがあります。したがって、フリーランスエンジニアは自身の労働時間の管理するためにこの点についてクライアントと交渉しなければなりませんが、なかなか断れない方は辛い状況に置かれてしまいます。フリーランスを目指す場合は、さまざまな法的保護対象から外れてしまうリスクを認識しておくべきでしょう。
・突然仕事がなくなる可能性あり
参画している案件の予算が大幅に削減されたり、運営方針の変更があったりした場合には業務委託契約の解除もあり得ます。エンジニアのスキル不足や成果物の品質がクライアントの求める水準に至らず契約解除になることもあるでしょう。
・成長しづらい
フリーランスエンジニアは意識してスキルアップしなければ、独立した当時のスキルのままの状態が続いてしまいます。義務や強制といったものがないフリーランスのメリットの裏には成長しづらい、成長が鈍化するというデメリットがあるのです。
・社会的信用度が低い
エンジニアに限らず、フリーランスは収入が不安定なため、金融機関からの融資やクレジットカードの入会審査、賃貸契約の場面などで不利になることがあります。
独身のときは特段不便を感じることがなくても、結婚を機にフリーランスの社会的信用度の現実を知り、会社員に戻るフリーランスは多いものです。
SESエンジニアのメリット・デメリット
<メリット>
・安定した収入
SESエンジニアは通常、正社員として雇用されるため月給が保証されます。これによりフリーランスのような収入の不安定さを心配することなく、長期的なスキル・キャリアアッププランを立てやすくなります。
・福利厚生と社会保障、スキル・キャリアアップのサポートが充実
正社員としての雇用であるため、健康保険や雇用保険、厚生年金保険などの社会保障が充実しています。また、有給休暇や育児休暇などの福利厚生も充実している場合が多いです。
エンジニアのスキル・キャリアアップを支援するための研修制度が整っているSES企業であれば、より高いポジションや報酬を目指すことも可能になります。
・新規分野や大規模案件など多種多様な案件に参画しやすい
SES企業は多くのクライアントと契約しているため、さまざまな業界・分野の案件に参画する機会に恵まれます。フリーランスエンジニア個人では契約が難しい新規の珍しい分野や大規模案件に参画できる場合もあるでしょう。“企業の力”を上手く利用してスキル・キャリアアップできる点もSESエンジニアのメリットです。
・同僚との連帯感
SES企業は案件ごとにそれぞれ職場が異なるため同僚との連帯感や会社への帰属意識を得られにくいと思われがちですが、懇親会や各種研修が頻繁に開催されたり、クラブ活動が存在したりするSES企業であれば、職場が異なることによる孤独感や疎外感はかなり薄れるでしょう。
<デメリット>
・途中で案件が終了する場合がある
SESエンジニアの場合もフリーランスエンジニアと同様に途中で案件が終了する、つまり、仕事がなくなる場合があります。理由はフリーランスエンジニアと同じです。
ただし、SESエンジニアの場合は途中で案件が終了した場合でもSES企業の社員である限り、給与が支払われます。フリーランスエンジニアよりSESエンジニアの方が収入面で安定しやすいのは、次の案件にアサインされるまでの休業期間(これを待機期間といいます)であっても給与が発生するからです。
・案件を選べないSESではキャリアップが難しい
案件を選べないSES企業の場合はエンジニアの意向に関係なく会社都合で案件にアサインされるため、エンジニアが望むようなキャリアアップが叶わず、業務をこなすだけの日々になりがちです。このような状態が続くとキャリアプランが立てにくくなり、エンジニアとしての将来に不安を持ってしまいます。
・ 想像以上に激務になることがある
案件によっては長時間労働や休日出勤が求められ、ワークライフバランスを保ちにくい状況になる可能性があります。
前述の通り、SES企業とクライアントの関係は準委任契約を基礎としており、この契約ではエンジニアの指揮命令権はSES企業側にあります。ですから、所属するSES企業の上長から残業や休日出勤の要請があった場合には必要に応じて対応しなければなりませんが……エンジニアのワークライフバランスを重視するSES企業ではなるべくそのようなことはせず、指揮命令権が自社にあることを根拠に労働時間を適切に管理してくれるはずです。なお、クライアント側からの要請は法律で禁止されています。
SESエンジニア←→フリーランスエンジニア~それぞれに転向する場合の注意点~
フリーランスエンジニアとSESエンジニアの違いや共通点、それぞれのデメリットを比較・検討すればご自身がどちらに向いているか、自ずとわかってくるのではないでしょうか。
では最後に、転向の際に注意していただきたいことを解説します。
フリーランスエンジニアからSESエンジニアに転向する場合の注意点
入社するSES企業によりますが、フリーランス時代とくらべて多くの面で自由度が下がります。
- 案件が選べない(案件選択制ではないSES企業の場合)
- 月に1回~数回帰社日が発生する
- 気の進まない会社の集まりや飲み会が発生する
- 苦手な上司、部下とのかかわりが発生する
- 昇給や昇格などが年1~2回の考課時のみ
このような制約は改めて覚悟しておくべきでしょう。その代わり、経済的には安定し、将来のキャリアやプライベートの計画が立てやすくなります。
SESエンジニアからフリーランスエンジニアに転向する場合の注意点
- 成功したときのリターンが大きい分、不安とリスクを負う覚悟が必要です。・業務上のミスやトラブルは基本的にすべて自己責任。必要に応じて損害賠償保険への加入や税理士、弁護士など専門家と連携を。
- 案件を獲得できなければ収入ゼロ。独立前は最低1年間の生活費を確保しておく必要あり。“貯金力”は必須。
- 国民健康保険への切り替え手続きや確定申告を忘れると多額の金銭的ペナルティが発生するので絶対に怠らないこと。自主的な健康診断の受診も忘れずに。フリーランスにとって体調不良は死活問題であるという認識を。
自由と引き換えに不安とリスクを人一倍多く抱えるのがフリーランス。こう聞くと怖気づいてしまうでしょうか。
フリーランスエンジニアのデメリットは就職保証付きの案件選択制・高還元率SESで解決を
つまるところ、フリーランスエンジニアの最も大きなデメリットは経済的な不安と社会的信用度の低さと言えるでしょう。しかし、「心配だ、不安だ」と悩んでばかりではいつまで経っても独立できません。
私たちアイ・ディ・エイチはこのような独立への不安を解消してエンジニアが活躍できる場を広げるために、不安を感じたらいつでも正社員(当社のSESエンジニアとして正規雇用)に戻れる就職保証付きのフリーランスエージェント「IDHフリーランス」を立ち上げました。
フリーランスエンジニアとして案件を獲得できる実力をお持ちの方なら、当社のSESエンジニアとしても十分ご活躍いただけるはずです。
当社のSES事業では案件選択制、スキル見合いの高還元率(案件単価の7割)を基礎としていますから、会社員に戻ることに抵抗がある方でもご満足いただける環境が揃っています。
不安やリスクを背負い過ぎないフリーランスライフをIDHフリーランスでスタートさせてみませんか。