フリーランスエンジニアがエージェントに登録しても案件が決まらない原因と打開策について解説

フリーランスエンジニアがエージェントに登録しても案件が決まらない原因と打開策について解説

案件が決まらない――。

フリーランスエージェントに登録しても案件が決まらず、エンジニアとして仕事ができない事態が度々発生します。
高需要かつ人手不足のIT業界なのに……登録面談ではエージェントから「案件がたくさんあります」とアピールされたのに……なぜ案件が決まらず宙ぶらりんの状態に苦しむフリーランスエンジニアが出てきてしまうのでしょうか。

そこで今回は、エージェントに登録しても案件が決まらない原因について、当社営業担当者が徹底解説します。

【解説者プロフィール】
<IDHフリーランス営業担当:H.S>
約20年BPO業界で業務オペレーションや人材教育、指導、採用業務などに従事。また、新規事業の一環としてAIを活用した新システム開発のPMも務めた経験あり。2023年5月にPMP®認定を取得。現在はIDHフリーランスの案件新規開拓などを行う営業グループに所属。

「フリーランスエージェントに登録したけど案件が決まらない」とは具体的にどのような状況なのか?

「エージェントに登録したのはいいけれど、全然案件が決まらない」。こんな話を聞いたことはないでしょうか。
「案件が決まらない」、それはつまり、フリーランスとして働くエンジニアが、案件を仲介するエージェントサービスに登録しても自分に合った仕事が見つからない、または紹介されない状況を指します。
エージェントに登録すればなんとかなると思っていた方にとっては期待を裏切られる、非常に残念なことでしょう。

エージェント選びから始まり、登録前の面談やスキルシートの記入にかけた時間が無駄だったと感じてしまうのも無理はありません。しかも、どのエージェントでも「うちは案件が豊富なので」「皆さん結構すぐに決まりますね」……といったことを話しますから、案件が取れない状況が続くと一層悔しさが増すもの。営業トークだと頭ではわかっていても、案件獲得に必死なフリーランスエンジニアにとってはエージェントが”頼みの綱”だったりするわけです。

案件が決まらないフリーランスエンジニアはどうなる?

では、エージェントに登録したものの、なかなか案件が決まらないフリーランスエンジニアは一体どうなるのでしょうか。

この点、案件が取れない場合でも登録を抹消されることは一般的にはありません多くのエージェントでは登録したフリーランスエンジニアに対して、さまざまな案件を提案し続けることが一般的です。案件がすぐに決まらない場合でも、スキルや経験、希望条件に合った案件を見つけてエンジニアとクライアントを上手くマッチングさせて、はじめてエージェントとしての利益につながるからです。

ただし、エージェントによっては一定期間活動がなかったり、連絡が取れなくなったりした場合は特定の条件のもと登録を一時停止したり、抹消することがあるかもしれません。このような措置はエージェントのポリシーによって異なるので、登録時にその条件や登録ポリシーを確認することが大切です。

案件豊富なフリーランスエージェントと聞いたのに……なかなか案件が決まらない原因とは?

皆さんがご存じの通り、IT業界は慢性的な人手不足の状況。ですから、仕事(案件)自体はたくさんあるわけです。にもかかわらず、仕事にあぶれるフリーランスエンジニアが存在するのはなぜなのか――。
ここでは本記事のテーマである「フリーランスエンジニアがエージェントに登録しても案件が決まらない原因」について詳しく解説していきましょう。

エージェント側に原因がある場合

この場合、一言でいってしまえば、営業の質の低さが主な原因です

営業担当者が常日頃から取引先の新規開拓や既存取引先の深耕を怠ると、せっかくの案件を知ることすらできません。たとえば、とある会社の事業が伸長するなどして人不足となれば求人を開始しますし、その逆であれば求人を停止します。不動産や人材が水物商売と呼ばれ、時流や世間の動きに影響を受け、先の見通しが立ちにくいといわれるのはこのためです。ですから、こうした前提をふまえ、変化の激しい中でもそれをイチ早く察知したり、情報を収集していったり……といったきめ細かい営業活動を行わないと、有能なエンジニアを抱えていても「そもそも案件がない」という状況になってしまうのです。

このほか、会社に信頼性がない、評判が悪い、Pマークなどのセキュリティ認証や厚生労働省からの有料職業紹介事業許可がないなどの理由で取引を敬遠される場合もあります。どのエージェントが良いかをフリーランスエンジニア側の立場で選ぶ際には、取引先数や認証、認可があるかどうかをしっかりチェックすることをおすすめします。

フリーランスエンジニア側に原因がある場合

残念ながら、フリーランスエンジニア側に原因があるケースも存在します。これについては選考フェーズごとに見ていきましょう。

<書類選考を通過できないケース>
①スキル不足
経験の浅い若手の方に多く見られる原因です。スキルや経験を満たしていない案件にエントリーしても書類選考を通過できません
また、エンジニアと一括りに言っても、今まで携わってきたシステム開発の言語や工程、具体的な成果等にマッチしていなければ、案件獲得が非常に難しくなります。

②希望条件が多すぎる
フルリモートでなければ働きたくない」「10時以降の出社でないと難しい(常駐案件の場合)」など希望条件が多すぎると、これもまた企業側から「臨機応変に対応してくれないかもしれない」と敬遠されるケースがあります。
クライアントはプロジェクトの要件を満たすだけでなく、より柔軟に対応できるエンジニアを好む傾向がある点は、ぜひ覚えておいていただきたいところです

③スキルシートに魅力がない
案件にエントリーする際はスキルシートを作成します。これは一般的な就職活動における履歴書や職務経歴書に似たもので、その人のスキルや経験プロジェクトなどを記載した資料です。相手先の企業はこれだけを見て書類選考を行いますので、高度なスキルや立派な経験があっても、それが十分に記載されていなければ求める内容に一致していないと判断され、結局見送りとなります。

<面談を通過できないケース>
・スキルや経験の説明不足
面談時に営業担当者が同席することもありますが、多くはエンジニア本人の口からスキルや経験をお話しいただくことになります。この際に、ダラダラと全経歴を話したり(冗長的になる)、あまりにも簡潔すぎてすぐに終わったりすると相手には肝心なスキルや経験がまったく伝わらず、「よくわからなかったな」「何か足りなそうだな」と判断されてしまいます

・ヒアリング(理解)不足
面談で一番重要なポイントはヒアリングです。クライアントが求めている人材はどのような人なのか、どのようなスキル・経験なのか。これを正しく先方にヒアリングすることで、応募する仕事への深い理解を先方に認識してもらえるのですが……たまに「質問はありません」という方がいらっしゃいます。そうすると「質問がないってことはうちの仕事を理解してもらえていないんだな」「一緒に現場で働くときもちゃんと話を聞いてくれるだろうか」と先方は不安になり、これも見送りの原因になるのです

・アピール不足(熱意がない)
フリーランスエンジニアとして参画するということは、「〇〇のノウハウを持ったプロとして仕事をお願いしたい」との期待を持たれています。それに対して「まあ対応できると思いますよ」とあっさりとした一言で済ませて仕事に対する熱意をアピールできなければ、「そんな簡単に言われても……」と見送られてしまうこともあります

<IT業界における需要と供給の状況に原因がある場合>
・人気案件ばかりに応募している
ほかにも、応募者が多い人気の案件(倍率が高い)ばかりに応募しているケースなどもあります。開発言語の主流であるJavaは案件自体多いものの経験者も多いため、募集を開始して3日でクローズとなるケースはザラです。

・フリーランスエンジニア増加による案件獲得競争の激化
昨今はフリーランスに転向するエンジニアが急増していますから、特定のスキルセットを持つエンジニアの供給が需要を上回ると競争が激しくなり、案件を取ることが難しくなることもあるでしょう。フリーランスの増加は価格競争を引き起こす要因にもなるので、フリーランスエンジニアとしては無視できない問題です。

案件が決まらない場合の打開策~営業担当からのアドバイス~

不安になる要素ばかりお話ししてしまったかもしれませんが、安心してください。
案件はほんの少しの工夫で決まります。
良い仕事との出会いはよく「お見合い」に例えられます。こんな人が欲しいという企業と、こんな仕事がしたい、こんな経験を活かしたいというエンジニアは必ずご縁があるのです。
そこで、私から稚拙ながらも次の点をアドバイスさせてください。

スキルシートはあなたを表す「営業パンフレット」!常にブラッシュアップしてください

ご自身では「そんなに書くことがない」「経験が多すぎて書ききれない」など色々感じるところがあると思います、ですが、相手はそれしか見ないのです。たとえば、カーディーラーで新商品の車のパンフレットを手にしたとき、そのパンフレットに書いてある内容が少なかったり、見づらかったりしたら興味を持つでしょうか。ましてや、誤字があったり、改行されていなかったりすればなおさら……。

資料は独り歩きするといいます。その資料が多くの人の目に触れていても、あなたの素晴らしいスキルや経験が相手に伝わらなければ意味がありません。ですから、相手に良い印象を与えられるよう何度も見直し、修正してください。営業担当者に限らず、友人知人、家族にも見せて他者の意見にも耳を傾けてくださいね。

周りをよく観察し、ニーズを探ってみてください

あなたの希望条件や経験してきたことは、今現在のニーズを満たしているのでしょうか。コロナが5類に移行し、多くの企業が従業員に出社するよう指示することが増えてきましたから、リモート案件を必須条件にしていると案件が決まりづらくなります。また、ChatGPT等の生成AIが台頭し、ただのコーディング作業には人手が不要になってきました。こういった状況を考慮し、企業やプロジェクト担当者が何を求めているのか、何が必要とされているのか、もう一度情報を収集してニーズを探ってみましょう

困ったら営業担当者を頼ってください

少なくとも私たち、IDHフリーランスの営業担当者はクライアントとエンジニア双方の意見や思いをヒアリングし、なんとか良いご縁ができるようマッチングしています。クライアントの予算感や採用する際に重視しているポイントなど、案件獲得につながる情報を得て対策を立てたいときは営業担当者に聞いてください。もっと頼ってもいいのです。

この記事をご覧の皆さんが現在登録しているエージェントの営業担当者と上手くいっていないのであれば、ぜひ当社にご相談ください。当社ではお話をうかがうだけのカジュアル面談も歓迎です。

初めての就職活動のときの気持ち・姿勢を忘れずに

多くの方はすでにお気づきだと思いますが、フリーランスエンジニアの案件決定は就職活動にとても似ています。
ですから、フリーランスとして活動する場合でも、基本は正社員の就職活動とほぼ同じと考えていただいて構いません。一般的な就職活動と同じように仕事への興味や熱意のアピール、ビジネスパーソンとしての常識、しっかりとしたスキルシート(応募書類)の作り込みは皆さん過去に経験済みのはず。フリーランスエンジニアとして独立するのですから多くの方はすでに十分の実力をお持ちだと思いますが、それでも初めて就職活動に臨むときの気持ち・姿勢を忘れないでいただきたいと思います。